投機家潤す日経平均入れ替え、事前買いで6%利益-パッシブにリスク

毎年秋の恒例イベントである日経平均株価の定期銘柄入れ替えは、ヘッジファンドなど短期投資家や投機家に利益獲得の機会を与える一方、変則的な値動きはインデックスファンド、指数連動型上場投資信託(ETF)などパッシブ運用資金にとっては損失が発生し得るリスク要因となっている。

  日経平均のことしの定期入れ替えは長谷工コーポレーションディー・エヌ・エーの2銘柄を新規に採用し、日東紡と平和不動産を除外すると日本経済新聞社から4日に発表された。実施日は10月1日。SMBC日興証券によると、パッシブ資金のリバランスに伴う売買は9月30日の取引終了時に行われる。インデックスファンドの運用者は指数に対するトラッキングエラーを最小限にとどめようと、新規採用銘柄をリバランス当日に大量購入する。これに対し短期投資家や投機家は入れ替え発表日から事前に買い進め、リバランス日までの高値で売却する傾向がある。

  関西学院大学大学院の教授で、ビッグデータとアルゴリズムを使った投資助言を行うマグネマックスキャピタルマネジメントの岡田克彦最高経営責任者(CEO)は、銘柄入れ替えは「必ず売買しなくてはいけないカウンタパーティーがいる」と指摘、投機的な取引の対象になりやすいとみている。インデックスファンドのインセンティブは、指数の動きに「できるだけ忠実であること。機会損失を生んでいることは評価されない」とし、入れ替えに伴うインデックスファンドの損失は「認識されないシステムになっている」と言う。

  ブルームバーグのデータによると、定期入れ替えで日経平均に新規採用された銘柄は2005年以降、採用発表日からリバランス日までに対指数比で平均6%アウトパフォームし、対照的に翌日は2.3%アンダーパフォームしている(M&Aによる追加銘柄は除く)。05年のファーストリテイリングは31%アウトパフォーム後に9.4%アンダーパフォーム、08年の大平洋金属は25%アウトパフォーム後に6%アンダーパフォームした。

  13年のケースでは日東電工が採用発表日からリバランス日までに33%上昇、翌日は11%急落し、その後8営業日で採用前の上昇率を相殺した。採用発表からリバランス日までに同社株を買った中には香港のヘッジファンド、アレイオン・アセットマネジメントがあった。証券取引等監視委員会は昨年12月、日東電株の取引で金融商品取引法違反(相場操縦)があり、アレイオンに4億3074万円の課徴金命令を出すよう金融庁に勧告した。監視委の説明では、アレイオンは13年9月25日の取引終了直前の30秒間に日東電株に大量の買い注文を出し、不正に株価を釣り上げた。

  こうした投機的な動きが出る可能性も抱えた中で、指数への連動が目的のインデックスファンドなどパッシブ資金は銘柄入れ替えに臨まなければならない。JPモルガン証券の内藤三千郎エグゼクティブ・ディレクターは、「インデックス運用者はトラッキングエラーが嫌で、最後の最後まで買ったり売ったりしない。例外はあるが、ほとんどの場合は最終日や引け直前にやることが多い」と話す。

  同氏によると、銘柄数が少ない日経平均の方がTOPIXよりトラッキングエラーが生じやすく、投機的売買に利用されやすいと言う。入れ替えをめぐる動きは米国でも起きており、パッシブ資金が年間43億ドルもの損失を生んだとの調査もある。今回採用されるDeNAは4日の発表日から29日までに既に11%上昇、長谷工は6%上げ、同期間に4.8%下げた日経平均をともに大きくアウトパフォームしている。DeNA広報の秋山知之氏はブルームバーグの取材に対し、同社の株価動向についてコメントを控えた。

  投資信託協会によると、ことし2月末時点の国内ETFは128本、純資産総額は12兆709億円で、12年末と比べると本数で23%増加、純資産で2.9倍になった。インデックスファンドを含むパッシブ運用資産全体としては増勢で、JPモルガン証の内藤氏は「銘柄入れ替えで各銘柄に投資される金額は当然大きくなる」と指摘。日経平均連動の資産を持つ投資家は、投機的売買や損失内包のリスクが年々高まっている状況を認識する必要がある。

DeNA vs Haseko vs Nikkei 225 return chart

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