商船三井の関係会社で不定期船事業を手がける第一中央汽船が29日、民事再生手続きの開始を東京地方裁判所に申請し、受理されたと発表した。再生スポンサーは見つかっていない。

  発表資料によると、第一中央汽船の負債総額は1196億円、同時に手続き申請した100%子会社が569億円。同日記者会見を開いた薬師寺正和社長は「かなりの部分を占める中国関連の取引の先行きが厳しくなった。その影響は大きかった」と述べた。

  中国景気が減速するなか、影響が日本企業にも表れ始めた。第一中央汽船の決算資料によると売上高の9割を国際的な海運が占め、鉄鉱石、石炭などの輸送を行っているが、中国などの景気鈍化により鉄鉱石などの価格が下がり、運賃市況に悪影響を与えていると考えられるという。

  薬師寺社長は「本質的にはリーマンショック後の船舶投資の積極化が要因」と述べたが、一方で「マーケットの状態は異常事態。4年もこんな状態が続くとは思っていなかった」と話した。筆頭株主の商船三井からは9月に入って「これ以上支援はできないと断られた」という。商船三井から再生スポンサーの申し出はなく「スポンサーなしでも再生に努力する」と述べた。同氏は、12年に社長に就任してから前社長による船隊拡大方針から一転して縮小に努力してきた。

「経営判断の失敗」

  バリューサーチ投資顧問の松野実社長は電話取材に対し、「過剰投資」が破綻原因であり、「市況悪化ではなく経営判断の失敗だ」と述べた。「他の船会社は不動産事業などうまく投資を使い分けてそれぞれ収益を上げており、問題ない」と話した。

  日本郵船の会長で、日本船主協会の工藤泰三会長は29日、都内の定例会見で第一中央汽船の破綻について国際的な「外航海運業では運賃はどの分野もコスト割れ」していると述べる一方で、「他の日本の海運会社は堅実に事業継続できると思う」との見方を示した。

  東京証券取引所のウェブサイトによると、発表を受けて第一中央汽船株は整理銘柄に指定され、10月30日に上場廃止にする。9月29日午前8時20分から売買を停止している。

  同社最大の株主の商船三井の株価は前日終値比7.4%安の288円で29日の取引を終えた。1日の下落率としては2012年1月以来の大きさ。第一中央汽船の有価証券報告書によると、3月末時点で商船三井は議決権の16.99%を保有している。

  第一中央汽船は前期(15年3月期)まで4期連続の営業赤字と純損失を計上していた。15年4-6月期も27%減収、営業赤字54億5000万円、純損失78億5000万円だった。株価は28日に今年最安値を更新して終値は28円と、12年半ぶりの安値を付けていた。

商船三井株にはポジティブ

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安藤誠悟シニアアナリストは29日付の顧客向けメモで、市場では商船三井が「追加支援を強いられるリスク」を意識していたと記している。「第一中央汽船が民事再生法適用を認められ経営再建への抜本的対策が施されることとなれば、商船三井の株価にはポジティブ」と述べている。

  商船三井は29日、関係会社株式株式評価損として約250億円を計上する見込みだと発表した。16年3月期の業績に与える影響については「現在精査中」としている。

  海上貨物輸送は原油タンカーやコンテナ輸送船といった定期船、鉄鋼原料などを運ぶ不定期船に大別される。第一中央汽船はばら積み貨物輸送を中心とする不定期船会社で1892年の創業。

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