東芝株が下落、有報提出の再延期、上場廃止可能性の声も (訂正)

訂正済み

不適切会計に揺れる東芝の株価が、終値で約 4カ月ぶりの下落率を記録した。8月31日に有価証券報告書の提出期限 を再延長したが、間に合わなければ上場廃止の可能性も指摘される。

9月1日の終値は前日比5.3%安の363.5円となり、5月11日以来の 下落率となった。同社は新たな会計問題が判明、有報の8月31日までの 提出期限に間に合わなくなったとして同日、新たな期限を9月7日とす る申請を関東財務局に行い、承認された。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本武郎シニアアナリスト は9月1日付リポートで「仮に期限までに監査人との意見の差が埋まら ない場合に三度目の延長が可能かは不明」と述べ、「有報を提出できな ければ上場廃止の可能性が高まろう」と記した。

8月31日夜に都内の本社で会見を開いた室町正志社長は冒頭で陳 謝。新たな期限を守れなかった場合は「進退問題を含めて考える」と述 べた。過去の決算の修正の概要や2014年度決算について連結税引き前損 益まで18日にいったん公表したが、同日以降新たに調査が必要な問題や 計算ミスが10-14年度で「10件程度」発覚したという。発表済みの税引 き前損益と営業損益には「大きな齟齬(そご)はない」と述べた。

東芝は不適切会計の発覚を受け14年度の決算発表を延期したが、上 場維持のため8月末までに有価証券報告書を提出する必要があった。不 適切会計ではこれまでに、過去約7年間の利益水増しと減損処理などで 総額約2100億円の税引き前損益を減額修正する必要があると表明。関与 した歴代社長や取締役が辞任した。

上場維持には

東京証券取引所の規則では、有報提出の期限を延長した場合は、承 認を得た期間の経過後8営業日以内に提出すれば上場は維持される。東 証を運営する日本取引所グループの広報担当、大薮将貴氏によると、東 芝は今回の再延期承認により、9月17日が上場維持するための有報の提 出期限となる。

大薮氏はさらに、東芝が有報を提出した後に、不適切会計を踏まえ て「特設注意市場銘柄に指定する可能性がある」と述べた。指定を受け てから1年後に内部管理体制確認書を提出しなければならないという。 同確認書の提出後に内部管理体制などの審査を行い、指定の解除か上場 廃止かを判断する。

8月31日の東芝の発表資料によると、複数の国内・海外子会社での 会計処理の適切性について調査が必要になる事象が新たに発生した。室 町社長は会見で、総額について回答を避けたが、海外子会社の一つは米 国の水力関係の発電所だと明らかにした。

同資料によると、連結税引き前損益の再計算が8月27日までかか り、計算書類を独立監査人に提出したのが30日で、監査完了までには7 日程度を要するとの連絡があったという。室町社長は「監査人からは適 正意見を頂ける方向と考えている」と述べた。

「前代未聞の重大な事態」

東芝は申請承認を知らせる発表文で「再延長を申請するという前代 未聞の重大な事態を発生させましたことを、極めて深刻に受け止めてお り、株主、投資家及びステークホルダーの皆様にあらためてお詫び申し 上げます」と記している。

三菱UFJモルガン・スタンレーの宮本氏は同リポートで、今回発 表した新たな会計問題などは「先月半ばには判明していた可能性」があ り、「開示姿勢には課題が残る」と指摘。東芝から委嘱を受けた第三者 委員会の調査も「不徹底だった」として「悪材料の出尽くしには、当面 時間がかかろう」と記した。