【今週の債券】長期金利0.4%付近上昇か、中国株にらみで買われにくい

今週の債券市場では長期金利が0.40%を中心 とする水準に切り上げると予想されている。世界的に続いていた株式相 場の下落に一服感が出ており、売り圧力が掛かりやすいとの見方が背景 にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.32-0.45%となった。前週は終盤に0.385%と約1週間ぶ りの高水準を付けた。中国をはじめ世界的に株式相場が上昇したこと で、これまでのリスク回避の動きによる債券買いの反動が出た。

三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド は、今週の債券相場について、「中国や米国市場にらみで買われづら い。世界的な株価の急落があっても金利低下は限定的だった。中間期末 接近で利益確定売りが意識された印象だ。中国株が再び崩れると円債売 り優勢になる可能性がある」と話した。

前週末28日のアジア各国・地域の主要株価指数は27日に続いてほぼ 全面高となった。前日の欧米株式相場が軒並み大きく上昇したことで買 い安心感が広がった。上海総合指数は4.8%高で終え、1週間ぶり高値 を付けた 。中国政府による景気刺激策に期待が高まった。

米重要指標も注目

SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「今 週はグローバルなリスク資産市場の落ち着きがどこまで進むかがポイン ト」と指摘。8月の米供給管理協会(ISM)指数や雇用統計で米経済 堅調との数値が出れば、9月利上げ観測の再浮上ということもあり得 る。そこまではいかないまでも、大幅に後退した年内利上げ観測が再度 強まってくれば、米金利には若干上昇圧力が生じる」とみる。

財務省は9月1日に10年利付国債の価格競争入札を実施する。償還 日が前回の339回債より3カ月延びるため新しい回号となり、表面利率 (クーポン)は据え置きの0.4%が見込まれている。発行予定額は前回 債と同額の2兆4000億円程度となる。

3日には投資家需要の強い既発国債を追加発行する流動性供給入札 が予定されている。今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39年未満。 発行予定額は3000億円程度となる。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物9月物147円50銭-148円10銭

10年国債利回り=0.37%-0.43%

「中国の株価反発の賞味期限を見極めつつ、長期金利は低下よりは 上昇方向で動きやすいとみている。10年債入札の前後に売られる可能性 がありそうだ。足元の外部環境から投資家の積極的な買いはなく、新発 債利回りの0.4%台でどれだけ押し込めるかだろう。一方、足元の金融 市場の混乱もあって、今後は景気の下振れが意識されそう。超長期ゾー ンを中心に、金利上昇時には着実に買いが入るとみている」

◎損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベ ストメントマネジャー

先物9月物147円30銭-148円10銭

10年国債利回り=0.35%-0.45%

「他市場が落ち着く流れという前提で、10年債利回りは0.4%挟み か。先週は株価などが大きく動いたのに比べ、円債は大きく動かなかっ た。日銀が大量に国債を買い入れていることが理由だろう。10年債入札 は無難な結果とみている。進んで買いたい利回り水準ではないが、崩れ ることもなく、普通の感じではないか。米国ではISM製造業景況指数 や雇用統計などの経済指標が重要だ。後退している9月利上げ観測が戻 ってくるのか見極めたい」

◎みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジスト

先物9月物147円30銭-148円30銭

10年国債利回り=0.32%-0.42%

「先週は前半にグローバルに大きく株価が下落し、後半に大きく反 発する展開をたどった。株価が下落する中でも、長期金利はほとんど低 下せず、債券相場の上値の重さが際立った格好だ。もっとも、10年金利 が0.4%に接近する局面では、相応の買い需要が見込まれる。インフレ を大きく加速させる要因に乏しい中、今後半年程度の間に市場が本格的 に緩和の出口を織り込む形で、長期金利が急騰する可能性は低いとみ る」

--取材協力:赤間信行、池田祐美 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典