ドル・円が一時121円割れ、日中株安重し-米利上げ時期見極め

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東京外国為替市場ではドル・円相場が反落 し、一時1ドル=121円台を割り込んだ。米国の利上げ見通しが不透明 な中、日本株や中国株の下落を背景にリスク選好の後退に伴いドル売 り・円買いが優勢となった。

31日午後3時45分現在のドル・円相場は121円11銭前後で、一時 は120円88銭まで値を切り下げる場面が見られた。先週末の海外市場で はフィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の発言が9月利 上げを排除しなかったと受け止められ、米中期金利の上昇を背景に24日 以来の水準となる121円75銭までドル高・円安が進行。週明け早朝の取 引でも一時同ドル高値に並んだが、その後はドル売り・円買いに押され る展開となった。

外為どっとコム総研の川畑琢也研究員は、米利上げは結局、米指標 次第であり、今週は雇用統計など米主要経済指標を見ながら9月利上げ の可能性を読み取っていくことになると説明。その上で、米利上げは単 純にドル・円にとってプラスとなる可能性があるが、株価動向次第では 「リスク回避ということもあり得る」とし、株式など資産市場の反応に も注視する必要があると語った。

ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨に対して全面高 で、ユーロもほぼ全面高となっている。一方、ドルはユーロや円に対し て下落しているが、アジア通貨やオセアニア通貨に対しては買い優勢と なっている。

JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフFXストラテジスト は、「世界的な株価動向により、リスクオンで円安、オフで円高になっ ている」とし、「ユーロも円の同じ資金調達通貨の動き」と説明した。

ユーロ・ドル相場は前週末に1ユーロ=1.1156ドルと20日以来の水 準までユーロ売り・ドル買いが進んだが、週明けの取引では一時1.1262 ドルまでユーロ買い・ドル売りが進み、同時刻現在は1.1238ドル前後。 ユーロ・円相場は1ユーロ=135円台後半から136円台前半へ強含んだ が、ユーロ買い圧力と円買い圧力が交錯する中、値幅は限定的となって いる。

日中株安

31日の東京株式相場は反落。国際金融市場の混乱や米金融当局者の 発言を受けて米国の利上げ動向に不透明感が広がる中、日経平均株価は 一時2%超下げる場面が見られた。

中国株式相場も3営業日ぶりに反落。当局が株式市場をどの程度支 援するのかを見極めたいとのムードが投資家の間に広がっている。英紙 フィナンシャル・タイムズ(FT、オンライン版)は、中国当局が大規 模な株式の買い支えを通じて株価を押し上げる努力を今後は見送る方針 を決めたと報じた。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの平野淳外国為替営業部 長は、FT報道を受けて株安となり、リスク回避が進んだことでドル・ 円は下落したが、「週後半に向けては、株式市場が落ち着き、米国の最 初の利上げがしっかり織り込まれれば、123円や124円の回復もあるかも しれない」と指摘。「それまではテクニカルには急落前の高値である8 月12日高値(125円28銭)から8月24日安値(116円18銭)までの下落幅 の61.8%戻し(121円80銭)が重い状態が続きそうだ」と話した。

米利上げ時期

フィッシャー副議長は29日、FRBが利上げを実施する前にインフ レ目標の達成を待つべきではないと述べるとともに、物価圧力が今後増 大すると自信を示し、9月の利上げの可能性を残した。同副議長はワイ オミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の年 次シンポジウムで、利上げの判断の前に「利用可能な全ての情報と経済 見通しへの影響を検討する必要がある」と語った。「中国経済の動向と 他国に与える影響をいつも以上に注視している」とも述べた。

米国では今週、8月の米供給管理協会(ISM)景況指数や雇用統 計など利上げ時期を見極める上で注目の経済指標が発表される。また、 中国では8月の製造業および非製造業PMI(購買担当者指数)の発表 が予定されている。

上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、中国PMIについ て、景況感の悪化傾向に変化はないとみられるため、「中国株価への影 響が懸念され、再度のリスク要因としては意識しておく必要があろう」 と指摘。もっとも、週末に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁 会議を控えて、対策などへの期待で株式市場が支えられる可能性はある とみている。

--取材協力:池田祐美、Daisuke Sakai.