三井住友F:カード分野で「フィンテック」投資-米10社候補に

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三井住友フィナンシャルグループはクレジッ トカード分野で、金融とITを融合した新たな技術「フィンテック」関 連投資を加速する。現在、米国のベンチャー企業など10社程度に絞り、 出資・提携の可能性を探っている。安倍晋三政権が2020年の東京五輪開 催に向け目指すキャッシュレス決済の拡大に備え差別化を狙う。

三井住友カードの久保健社長(61)はブルームバーグとのインタビ ューで、海外観光客の増加見込みを踏まえた政府方針について「カード 業界が日本再興のカギになる。やりがいと責任を感じる」と述べた。た だ、「日本のカード事業は欧米に比べ革新的なサービスがまだ普及して いない」とし、出資などにより利便性向上などを急ぐ考えを示した。

金融庁の資料によると、昨年の米銀のIT予算の優先投資分野はサ ービス高度化などへの投資が58%と維持・管理(42%)を上回ったのに 対し、邦銀は維持が70%だった。三井住友ではカードなどキャッシュレ ス決済普及をにらみ、IT技術の活用で利便性や安全性の高い新サービ スを提供し、顧客を増やすとともに取扱高の拡大につなげる。

久保社長は、興味のある技術について、複数のカード機能が1枚で 使えるカード型デバイス、成り済まし防止で買い物のたびに使い捨てカ ード番号を発行するトークン技術、クラウド関連技術などを例に挙げ、 「われわれの事業と少しでも親和性のあるものは積極的に追いたい」と 述べた。1社当たりの出資額は概ね1億円未満に収まるとみている。

外国人観光客

三井住友カードではスマートフォンによるカード決済技術の日本導 入につながった米ITベンチャーのスクエアを含め2件の投資・提携実 績がある。12年11月に米シリコンバレーに開設した駐在員事務所を拠点 に過去2年で500社と面談してきた。楽天などの新興カード会社がIT 技術を駆使して顧客を増やしていることからも技術革新を急ぐ方針だ。

円安による外国人観光客の急増を受け、三井住友カードのショッピ ング取扱高は15年3月期に初めて10兆円を突破した。久保社長は東京五 輪のある20年までは「取扱高を毎年10%を目安に伸ばしていきたい」と の目標を掲げる。単純計算では21年3月期に約17兆7000億円となる。一 方、三菱UFJニコスでは20年までに20兆円の目標を掲げている。

観光庁は1-6月の訪日客消費を約1.6兆円と発表しており、久保 社長は「年間3兆円になるのでは」と見通す。三井住友カードでは05年 から中国のカードブランド「銀聯」と提携を開始、久保氏はこの利用増 が「今の訪日客消費の起爆剤になっている」とみている。こうした訪日 客のカード利用に役立つ技術なども導入していきたい考えだ。

久保社長は15年6月24日付で社長に就任。プロミス(現SMBCコ ンシューマーファイナンス)社長を経て、直近まで三井住友銀行副頭取 として個人部門を統括するなどリテール分野が長い。