スズキ:自立を前提に考える、今後の技術対応-VW係争教訓

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スズキが独フォルクスワーゲン(VW)との 提携解消を求めていた国際仲裁裁判は、スズキの主張をほぼ認める形で 終結した。スズキは今後の環境技術への対応を「自立を前提に」模索す るとしており、6年間の係争は大きな教訓となった。31日のスズキ株は 一時、上昇した。

スズキの発表によると、仲裁裁判所の判断は包括契約が2012年5月 に解除されたと認め、VWに保有スズキ株の処分を命じた。鈴木修会長 は30日の会見で「仲裁申し立ての最大の目的を達成した」と述べた。同 時に係争中の6年間を振り返り「経験不足だった。反省している」と語 った。

今後の環境分野での提携について、鈴木会長は「次のことまで考え る余裕がなかった」としながらも、「自立して生きていくことを前提に 考える」と述べた。VW提携を発表した09年12月の会見では「われわれ のような小さい会社は単独ではやっていけない」ため生き残りの道筋を 示したとしていた。世界では燃料電池車など巨額の費用が必要な環境対 応車の開発競争が加速している。

ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは「自立という のは提携をしないという意味ではなく、自立を大前提に必要な分野での 技術提携を進めることと理解した」述べた。今後のスズキは自動運転や 燃料電池車など対応を必要とする技術が多くあるという見方を示した。

自前で目的達成

VWとの提携では当初、ハイブリッド車(HV)技術など環境対応 分野での協力を模索していたが、鈴木会長は「係争で社員が奮起し、当 初の契約目的は解決できた」と述べた。スズキは今月、小型車「ソリ オ」にハイブリッドシステムを搭載して発売している。

スズキはVWとの提携で期待した成果が得られず、11年11月、VW が保有するスズキ株の処分を求めて国際仲裁裁判所で手続きを開始して いた。

今回の仲裁判断を受け、スズキはVWが保有するスズキ株を買い戻 すことになる。買い戻し価格について鈴木会長は「市場価格になる」と した上で、約4000億円程度を見込んでいると述べた。仲裁判断ではスズ キが買い戻すか、スズキが指定する第三者への売却となっているが、ス ズキは自社買い戻し以外は検討していないという。

喉に刺さっていた小骨がとれた

鈴木会長は主張がほぼ認められたことについて「喉に刺さっていた 小骨がとれた」気分だとし、「大変すっきりした」とコメントした。 VWとあらためて何らかの技術提携する可能性については「離婚した人 との復縁はない」と断言した。

独デュースブルグ・エッセン大学ディレクターのフェルディナン ド・ドゥーデンホファ氏は「スズキは新たな提携を求めることになろう が、必ずしも結婚を伴う必要はない」という見方を示した。VWとの苦 い経験後でもあり、「企業規模が幸せの条件とは限らない」と述べた。

物言う株主として知られるダニエル・ローブ氏は、VWからの自社 株の買い戻しには既存株の希薄化を招きかねない新株や転換証券の発行 を避け、手持ち資金を使うべきだと指摘。スズキは提携よりもインド事 業に注力するべきだとの見解を示した。同氏の米ヘッジファンド会社、 サード・ポイントは7月31日付でスズキ株を取得したことを明らかにし ている。

VW主張を一部認める

今回の仲裁判断では、VWが主張するスズキの契約違反の一部を認 め、損害の有無や額を引き続き審議することになった。スズキの原山保 人副会長は「どのくらい損害があったか請求責任はVW側にある」とし て、「VWがどう対応するかを見極めたい」と述べた。

鈴木会長は今年6月、VWとの係争の結論が出るのを待ち切れなか ったとして社長職を退き、長男で副社長だった鈴木俊宏氏を社長に昇格 させた。損害問題を含むVW関連の事案については、引き続き鈴木会長 と原山副会長が担当する。

スズキ株はVWと包括提携に基本合意を発表した09年12月9日の終 値で2370円だった。28日の終値は4151.5円と約1.75倍となり、時価総額 は2兆3292億円、そのうち19.89%は約4633億円。31日のスズキ株は一 時、前週末比4.6%高の4340.5円となった。

スズキの有価証券報告書によると、15年3月末時点で、VWはスズ キの1億1161万株、19.89%を保有。一方、スズキはVWの439万7000株 を保有しており、包括提携の解消により、VWの同意が得られた後に売 却する予定としていた。ブルームバーグ・データによると、スズキが保 有するVW株の比率は1.49%。

--取材協力:Craig Trudell.

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