中国中銀総裁にジレンマ-人民元買い介入が「量的引き締め」に

  • 人民元急落を阻止する取り組みが流動性の低下につながっている
  • 流動性不足は金融緩和の必要性を高め、人民元を圧迫する悪循環に

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はジレンマに直面している。

  周総裁は人民元急落を阻止するため、 人民元買い・ドル売り介入を余儀なくされており、銀行システムの流動性低下を招いている。流動性不足は成長の足かせとなり、人民元への下向き圧力が増大する。それにより為替介入の必要性が増し、またもや流動性が不足するという状況が繰り返されることになる。

  中国経済が減速する中で銀行融資拡大のための十分な資金供給の確保を狙い、人民銀は今週、利下げに踏み切ったほか、市中銀行の預金準備率の引き下げも発表した。しかし、最近の事例が示すように、これは資本流出を加速させ、元の下落圧力を増大させる。為替介入が必要となり、その結果として周総裁はすぐに再度の流動性不足に直面することになるかもしれない。

  人民銀の貨幣政策委員会で委員を務めていた余永定氏は、「下落圧力があっても人民銀が元安を望まないなら、元相場下支えのため外貨を売らなければならない」と指摘。「その一つの結果として起きているのが金融緩和ではなく金融引き締めだ。これにより人民銀はまた対抗措置を取らざるを得なくなる」と述べた。

  影響は中国国外にも及んでいる。ドイツ銀行の為替調査グローバル共同責任者、ジョージ・サラベロス氏は中国の外貨売りについて、最近の世界的な株安の一因としており、「量的引き締め(QT)」と呼んでいる。

  サラべロス氏によると、中国がどこまで外貨準備を放出することになるか投資家が見極めようとする中、中国国外の中銀は従来予想していたより金融緩和を進めることで、流動性不足に対応せざるを得なくなる可能性がある。それは米国の利上げ先送りや、日本や欧州の中銀の債券購入拡大を意味するかもしれない。

  サラべロス氏は「中国の『量的引き締め』に解決策が見つかるまで、世界のリスク選好に対して楽観的になるのは難しい」と述べた。

原題:Catch-22 for Zhou as Yuan Support Means Quantitative Tightening(抜粋)

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