米経済が中国に翻弄されるとの懸念は杞憂か-米国債利回り依然低水準

  • 中国が元安緩和に向け米国債売却の報道、金利の上昇圧力は見られず
  • 米国債並みに厚みがあり、流動性に富む代替資産は他にない

この数年、政治家や悲観的なニュースレターの筆者、一部のエコノミストでさえも米国は中国に翻弄(ほんろう)されると警告してきた。中国が大量の米国債を保有しているのがその理由だ。

「シチズンズ・アゲインスト・ガバメント・ウェイスト」と呼ばれるグループが2010年に「チャイニーズ・プロフェッサー」という名の動画を投稿した。その動画では、30年の北京で1人の大学教授が米国の崩壊を解説していた。米政府は過剰な支出を行い、中国人の手にその未来を委ねたという。

この主張はただ一つ問題を抱えている。そうした展開にはなっていないという点だ。

ブルームバーグ・インテリジェンスのエコノミスト、トム・オーリク氏が27日の調査リポートで指摘したように、中国は長期にわたり米国債の保有を増やしていない(中国はベルギーやスイスなどの金融センターを通じて米国債購入の一部を迂回させており、米国債の保有規模を正確に算出するのはやや難しい)。

要点は、中国が人民元の急落を防ぐために保有米国債を売却していると報じられているものの、米金利への上昇圧力が(全く)見られないということだ。それどころか、金利上昇はもうすぐだと常に考えているエコノミストにとってはがっかりする利回り動向が続いている。

下図は、14年初め以降の10年物と30年物の米国債利回りを測る指数を示している。これを見ると、中国の米国債売却に直面しても利回りが非常に低い水準にあることが分かる。

さらに過去にさかのぼっても、米国債利回りは歴史的な低水準にある。

中国の米国債売却によって実質的に圧力が生じているという証拠はない。実際、中国が経済的な影響を与えることだけを目的に米国債の保有を減らしたいとしても、米国債並みに厚みがあり、流動性に富む代替資産はない。

原題:One of the Most Popular Doom Scenarios for the U.S. Economy Is Fizzling Out(抜粋)