欧州債:独10年債利回り上昇、インフレ期待低下で低水準続くとの見方

27日の欧州債市場ではドイツ10年債利回りが上昇したものの、依然1%を下回っている。1年前に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は米ワイオミング州ジャクソンホールでのシンポジウムで、量的緩和(QE)実施を示唆。当時はこれがインフレ押し上げを目指すECBの闘いに転機をもたらすはずだった。

  ドラギ総裁が当時計算に入れていなかったのは商品価格の急落だ。これが長期的なインフレ期待を低下させ、1年前よりもさらに低い水準に抑え込んでいる。

  インフレ期待の指標としてドラギ総裁が重視する5年先スタートのインフレスワップ5年物フォワードレートは、昨年8月当時よりも低下している。同総裁発言が道を開いたECBの国債購入プログラムは、今年3月に1兆1000億ユーロ規模で開始。これが政府債の支援材料となり、アナリストはQE開始から1年後の時点でもドイツ10年債利回りは1%を下回っていると予想する。

ラボバンク・インターナショナルのシニア市場エコノミスト、エルウィン・デフロート氏(ユトレヒト在勤)は「最近の相場動向から判断して、インフレ期待がさらに低下し、利回りを一段と押し下げる圧力がかかるだろう」と発言。「当時インフレ期待が懸念されるようになった最大の理由は、現在インフレ期待が低下している理由と実際同じものだ。つまり商品価格の急激な低下だ。現在の状況は当時とさほど変わらない」と続けた。

  ロンドン時間午後4時10分現在、ドイツ10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.74%。同国債(表面利率1%、2025年8月償還)価格は0.325下げ102.51。

  利回りは6月10日に年初来の最高となる1.06%に達した。その後の中国経済減速と商品安がデフレリスクを再燃させ、ECBに追加刺激を迫るとの観測が広がり、利回りは下げた。

  ブルームバーグがまとめたアナリスト調査の中央値によれば、独10年債利回りは年末が0.9%で、来年3月末までに1.01%に上昇するとみられている。

  今年のジャクソンホールでは、コンスタンシオECB副総裁が29日に講演する。イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は参加しない。

原題:Slowflation Makes a Mockery of Draghi’s Jackson Hole Anniversary(抜粋)

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