7月の消費者物価は横ばい、予想は上回る-原油下落で下押し続く

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  • 上昇率ゼロ%は消費増税の影響を除くと今年に入って3度目
  • 16年度前半の2%「絶望的」か、追加緩和は時間の問題の声

7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比横ばいだった。横ばいは2013年5月以来。14年4月に導入された消費増税の影響を除くと、2月、4月に続き今年に入って3度目。原油価格が下落基調にあることから、当面、物価への下押し圧力が続くとの見方が強い。

総務省が28日発表した7月の全国コアCPIは前年比0%だった。ブルームバーグがまとめた予想中央値(0.2%低下)を上回った。前月の伸び率は0.1%上昇だった。

日本銀行は13年4月、黒田東彦総裁の下で、2年で2%の物価目標の達成を目指し、量的・質的金融緩和を導入。昨年10月には追加緩和も行ったが、異次元緩和から2年が過ぎてなおコアCPIの伸びは低水準にとどまっている。

物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.6%上昇。事前の予想と同じだった。前月も0.6%上昇だった。

先行指標である東京都区部の8月中旬速報はコア指数が0.1%低下と、前月と同じだった。コアコアCPIは0.4%上昇と、前月の伸び(0.3%上昇)を上回った。事前の予想はそれぞれ0.2%低下、0.3%上昇だった。

16年度前半の2%達成は「絶望的」

黒田東彦総裁は7日の会見で、コアCPI前年比が「2%程度に達する時期は、原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、2016年度前半ころになる」との見方を繰り返した。しかし、中国に端を発した世界的な金融市場の混乱により、原油相場は7月以降、下げ足を速めている。

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストはCPI発表後のリポートで、「原油安と円高が進んでおり、昨年10月の追加緩和時と状況が似てきた」という。当時、日銀はコアCPIの前年比は1%を割れないとしていたが、原油安と円高が起こり、急きょ追加緩和に踏み切った。

牧野氏は「今回、日銀は物価は当面0%程度で推移するとしているが、原油安と円高から0%を割り込むのは時間の問題だろう」と指摘。コアCPIは10月にはマイナス0.5%程度まで下落するとみており、日銀が目指している「来年度前半中の2%達成はさらに絶望的だ」としている。

追加緩和は時間の問題

黒田総裁はニューヨークで現地時間の26日夜に講演し、「もし追加緩和が必要であれば、日銀は間違いなく量的・質的金融緩和の調整を行う。しかし、現時点では、景気と物価の基調はわれわれが見通した通りに推移しており、2%物価目標は現状の量的・質的金融緩和で達成されると考えている」と語った。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはCPI発表後のリポートで、「日銀が目標に掲げる2%のCPI上昇率ははるかに遠く、これが達成された上で安定的に持続する見通しはまったく立たない。追加緩和は時間の問題だ」としている。

このほか、総務省が同日発表した7月の失業率は3.3%と前月から0.1ポイント改善した。ブルームバーグ調査では3.4%の予想だった。また、同月の家計調査では、2人以上の世帯の実質消費支出が前年同月比0.2%減と事前予想(0.5%増)を下回った。