衆院の女性比率は北朝鮮以下、議員立法で国政進出後押しの動きも

安倍晋三首相は「女性活躍」を成長戦略の柱 に据えている。女性の就業率は過去最高を更新したが、衆議院での女性 議員比率は1割に届かず、国際比較でも北朝鮮より下位に甘んじている 状態だ。国政進出を後押しするための議員立法を目指す超党派議連の動 きも出ているが、法案提出は次の国会以降になる。

2009年の民主党政権時代には11.3%だった衆院での女性議員比率 は、第2次安倍政権が発足した12年に7.9%に落ち込んだ。14年の選挙 後は9.5%まで回復したものの、下院を対象にした15年8月1日現在で の国際比較ではボツワナと同じ117位で、73位のサウジアラビアや88位 の北朝鮮よりも低い。参院は15.7%。1889年設立の各国議会の国際機 関、列国議会同盟(IPU)の集計による。

上智大学の三浦まり教授は、日本で女性議員が少ない背景には、政 治は女性の仕事ではないという固定観念があると指摘する。そのため、 女性は政治の世界に入りにくく、政治家になった後もあまり支持を得ら れなかったり、偏見を持っている人たちから公然と非難されたりする、 と説明した。その上で、女性の政治登用に関する法案の必要性を指摘し た。

自民党の野田聖子前総務会長は7月29日のインタビューで、男性議 員が圧倒的に多い現状では男性的な議題が優先されやすいと指摘し、 「それを戦後70年間続けてきた結果、この国を滅ぼすであろう少子化と いう根本的な問題が発生している」と語っていた。

女性活躍推進法案

政府は20年までに各分野における指導的な地位に占める女性の割合 を30%程度に引き上げる目標を掲げている。12年の第2次安倍政権発足 以降、民間や公務員の世界で女性の登用は進んでおり、15歳から64歳の 女性の就業率は6月に65.1%を記録。比較可能な1968年1月以降で過去 最高を更新した。15年度に採用した国家公務員のうち、幹部候補とされ る総合職に占める割合は34.3%となり、戦後初めて3割を超えた。

28日の参院本会議では、女性活躍推進法案が自民党や民主党などの 賛成で可決、成立する見通しだ。従業員301人以上の企業や国、地方自 治体に女性登用の数値目標の設定や行動計画の公表を義務付けることが 柱だ。

議員連盟

有村治子女性活躍担当相は21日の記者会見で、同法案の意義につい て「今までこの種の法案はなかった」と指摘。数値目標の設定に対する 抵抗などもあったが、「家庭の幸せや日本の活性化のため」に必要との 思いで取り組んできたと語った。

ただ、同法案は女性の政治登用については触れていない。自民、民 主両党など超党派の国会議員で構成する「政治分野における女性の参画 と活躍を推進する議員連盟」(会長・中川正春民主党衆院議員)は、次 の臨時国会で、女性の政界進出を促進する法案の提出、成立を目指して いる。

具体的には選挙の候補者を男女同数にするよう各党に努力義務を課 すほか、衆院の比例選挙で当選者が男女同数になりやすい名簿の作成を 可能にする法案を準備している。

議連会長の中川氏は26日の取材に対し、「人口は男女で半分ずつな のだから、本来は国会議員も半分ずつが当たり前。それに一歩でも近づ くきっかけ作りになればいい」と語った。