米の選択肢に限界、金融危機再燃でも-金融・財政とも手詰まり

世界的な株安と商品相場安が1つの 疑問を投げ掛ける。それは、米経済が新たな金融危機に見舞われた場 合、そこから抜け出すためにどんな手段が残っているかという問題だ。

恐らくそれはあまり多くはない。少なくとも2008年の危機以前ほど 多くないのは確かだろう。

米議会予算局(CBO)が25日公表した報告書によれば、15年の連 邦政府の公的債務残高は国内総生産(GDP)比74%と、07年の35%か ら拡大。債務負担は今後一段と膨らむ見通しで、政府支出ないし減税の 形で景気刺激のための新たな財政出動を行う余地は限られる。

GDP比でさらに多くの債務残高を抱える日本やアイルランド、イ タリア、ギリシャと同じ道を米国がたどる可能性はゼロではないが、財 政赤字の拡大は政治的には極めて不人気だ。

財政面で緊縮志向が強い状況で、それを補う景気てこ入れの役割を 担ってきたのが金融当局だ。08年以降は事実上のゼロ金利政策を継続す るだけでなく、3回にわたり多額の資産購入プログラムを実施した。

仮に深刻な危機に再度見舞われた場合、一段の利下げは選択肢とは ならないだろう。米金融当局は新たな資産購入やフォワードガイダンス といった非伝統的手段に再び頼らざるを得ないことになる。金融当局は 過去にそれを行っており、今後繰り返さないと主張するのは難しい。た だ、追加利下げという決定的な選択肢を欠いていることは事実だ。

国際決済銀行(BIS)はこうした理由もあって、迫り来る経済的 リスクとして世界的な低金利環境を挙げた。BISは年次報告書で、 「より正常な状態を取り戻すことは、ある時点で間違いなく直面するで あろう将来のリセッション(景気後退)に対処するために不可欠だ」と 指摘。「弾薬なしの拳銃は何の役に立つだろう。しっかりと着実に金融 政策の正常化を進めるべきだ」と主張した。

原題:Options Seen Limited for U.S. to Battle Next Financial Crisis(抜粋)

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