違法採掘、スズ下落抑制を目指すインドネシアの取り組み阻む

インドネシアのバンカ島にある油ヤシとカカ オ豆農園などが続く泥道を抜けた先の浜辺で、40人近い男性たちが木製 ボートに乗って浅瀬から黒い砂をかき集めている。

スンガイリアット村近くで採掘するこれらの人々は、バンカ島にい る数百人の違法採掘者の一角だ。ここで採掘されたスズはトラックや精 錬業者、漁船などの手を経てインドネシア国外に持ち出される。汚職と 国際的な資金網に支えられ、黒い沈殿物はやがてはんだとなってスマー トフォンや自動車、電気製品などの組み立てに利用される。

泥道はスマトラ島沖にあるバンカとブリトゥンと呼ばれる2つの島 から延びている。これらの島々は、世界最大のスズ輸出国であるインド ネシアのスズ生産の90%余りを占める。

大半はスズ生産で世界3位のティマなどの鉱山会社が採掘してい る。しかし、生産会社が廃棄したピットや遠隔地にある鉱床では、男性 や子供たちが、沖合の洋上施設ではディーゼル駆動の機器、陸上では高 圧ホースを利用して違法採掘している。認可や規制されていない採掘作 業には危険が伴い、鉱山崩壊による死亡事故は日常茶飯事だ。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が6月21日にバンカ島を訪 れ、その数日後に違法採掘の根絶を約束したことから、違法採掘者らに 関心が集まった。

インドネシア政府が違法採掘を阻止できなければ、主要輸出産業へ の政府による課税能力が危ぶまれ、世界のスズ価格にも影響が及ぶ可能 性がある。中国の需要後退とミャンマーの鉱山からの供給増加によって スズ価格は大きな打撃を受けている。スズ価格は過去1年間に30%余り 下げ、2011年に付けた過去最高値と比較して50%余り低い水準となって いる。

インドネシア貿易省のデータによれば、同国の1-6月(上期)の 精錬スズ輸出は3万9358トンと、前年同期の4万1472トンから減少し た。この中には違法採掘分や鉱石は含まれていない。

原題:Vampire Miners Hamper Indonesia’s Efforts to Curb Tin Slump(抜粋)

--取材協力:Agus Suhana、Eko Listiyorini.

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