日銀総裁:追加緩和なしで2%物価目標の達成は可能-NYで講演

日本銀行の黒田東彦総裁は追加緩和を行うこ となしに2%の物価目標は達成可能との見方を示した。

ニューヨークで現地時間の26日夜に講演し、質疑応答で述べた。黒 田総裁は「もし追加緩和が必要であれば、日銀は間違いなく量的・質的 金融緩和の調整を行う。しかし、現時点では、景気と物価の基調はわれ われが見通した通りに推移しており、2%物価目標は現状の量的・質的 金融緩和で達成されると考えている」と語った。

具体的な手段については「たくさんあるが、詳細については言及し ない」と語った。

日本経済は4-6月の実質成長率が3期ぶりのマイナス成長となっ た。28日発表される7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコア CPI)は、黒田総裁が量的・質的金融緩和を導入した2013年4月以来 2年3カ月ぶりにマイナスに転じることが予想されている。

日銀は10月30日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を示す が、世界経済の減速懸念や原油価格の下落などにより、日銀は成長率、 物価見通しともに下方修正を迫られ、追加緩和に踏み切るのではないか との見方が浮上している。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日銀はこ れまでような景気・物価の先行きに強気シナリオを維持することは無理 だ。成長率、物価見通しともに下方修正せざるを得ないだろう。10月に 追加緩和を行うという見方は変えていない」という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の鹿野達史シ ニアエコノミストは「日銀は物価見通しを下方修正せざるを得ないだろ う。賃上げの動きも多少弱まる可能性がある。日銀は9月に追加緩和を 行う可能性が高まってきた」としている。

米利上げは世界経済に好影響

米連邦準備制度理事会(FRB)が9月18日の連邦公開市場委員会 (FOMC)で金利の引き上げに踏み切るかどうかに世界的な注目が集 まっている。

黒田総裁は「FRBは一貫して金融政策運営はデータ次第だとして いる。ということは、もし彼らが金利を引き上げ金融政策の正常化を始 めるとすれば、彼らが米国経済の回復の強さに自信を持っていることを 意味する。それは日本を含む世界経済にとっても良いことだ」と指摘。

「彼らがいつ金利を引き上げるのかは分からないが、もし彼らが金 利の引き上げを決心するとすれば、それは世界経済にとって良い話であ るはずだ」と述べた。

減速が懸念されている中国経済については「上海株の急激な下落に もかかわらず、今年、来年ともに6%ないし7%の経済成長を維持する ことができるとみている」と指摘。さらに、中国政府には「6、7%の 成長を維持する上で、かなり多くの政策余地がある」と語った。

黒田総裁は講演で、「アベノミクスの下で、行き過ぎた円高の修正 も進んだ」と述べた。質疑応答で為替政策については財務当局の所管で あるとしてコメントしなかった。