日本株と円のボラティリティ(価格変動性) が2013年6月20日以来の水準に上っている。中国景気への懸念を背景に 世界的にリスク資産を回避する動きが強まる中、中国株によって乱高下 する日本株に市場関係者はへきえきしている。

「朝起きるまで、100万ドル儲かっているか、失っているのか全く 分からない。気がおかしくなりそうだ」と英アルタス・キャピタルのフ ァンドマネジャー、リチャード・ウィッタル氏(シンガポール在勤)は 語る。日本株の運用に25年間携わるが、例年夏場は休暇期間で市場が変 動しないことが多く「これまでにこのような状況は起こったことがな い。髪の毛が真っ白になってしまう」という。

ブルームバーグのデータによるとTOPIXと円のボラティリティ (10日間ヒストリカル)は8月10日、少なくとも1989年以来の最も低い 水準を記録した。堅調な企業業績を支えにTOPIXは7月終盤からじ り高歩調をたどっていたが、4-6月期決算の発表がちょうど一巡した ことで、積極的に上値を追う材料にも乏しくなりつつあった。そうした 中、17日には投資家の売買エネルギーを示す東証1部の売買代金が1 兆9480億円と、4月6日以来の2兆円割れとなった。

その一方、中国上海総合指数が急落した18日以降には、それまで安 定していた日本株でも中国景気の減速や資源価格安が影を落とし、株価 下落に弾みがつく。第3週(17-21日)のTOPIXは5.5%安と、週 間ベースの下落率は14年4月2週(6.7%)以来となった。

6.5倍

世界的な株安が米国株市場を揺さぶり、米S&P500種株価指数 が21日に約4年で最大の下げとなったことを受け、週明け24日の東京株 市場でも売りが殺到してTOPIXは2年3カ月ぶりの下落率を記 録。25日には東証1部売買代金は4兆9241億円と9カ月半ぶりの高水準 まで膨らんだほか、利下げ発表後の中国株動向をにらみながら26日には TOPIXと円のボラティリティは61%と10日に比べ6.5倍まで高まっ た。27日正午時点でも65%と上昇を続けている。

大和証券の池端幸雄トレーディング一課長は「こんなに毎日値幅が 変わる相場はこの一年なかった。高すぎるボラティリティに慣れてしま って、上がっても下がってももう一喜一憂しなくなった」と話す。様子 見の投資家は多く、「お客さんの大変だという話を聞いている。我慢の しどころだ」と語った。

証券会社のストラテジストらも、読めない相場展開に顧客へのアド バイスに頭を悩ます。証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は「証券会 社はボラティリティがありすぎてもやりにくい」といい、投資家にコメ ントしようにも、『リスク回避』という言葉になりがち。相場が落ち着 くのを待ちましょうと話してしまう」と述べた。

ドル・円

株式市場のボラティリティの高まりとともに、為替市場では24日夜 にドルが急落し、ドル・円相場は約7カ月ぶりに一時116円台を付け た。オプション取引におけるドル・円のボラティリティは今週に入り、 およそ2倍に膨らんだ。27日は1ドル=120円前後で推移している。

メリッツ・セキュリティーズの資産運用責任者、パク・スンジン氏 (ソウル在勤)はドル・円の高いボラティリティの状況下で、円トレー ダーはペーパーワークに追われているという。「会議やリポートばか り。すべてのリポートはどう立て直せるかということについてだ」と述 べた。

「8月初めには、デスクに座って注文を待つよりも休暇を取ったほ うがむしろビーチで顧客に会える可能性が高いというような状況になり つつあった」と香港ミラボー・アジアのトレーディング担当ディレクタ ー、アンドルー・クラーク氏はいう。だが「今の大荒れのマーケットは みんなを現実に引き戻した」と話した。

--取材協力:長谷川敏郎.

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