三井住友銀:「市場は生き物」、年末のドル・円相場見通しを下方修正

三井住友銀行は、年末のドル・円相場の見通 しを、従来の水準から2円程度、円高・ドル安方向へ修正した。想定を 超えた中国発の市場混乱がドルの上値を抑えるとみている。

三井住友銀・市場営業統括部副部長兼調査グループ長でヘッド・オ ブ・リサーチの山口曜一郎氏は25日のインタビューで、年末のドル・円 を1ドル=124円程度と予想した。従来は126円程度を見込んでいた。「 ドル・円は1回上昇に戻ると思う。今が市場混乱のピークだとすれば、 116-118円程度がドルの年内最低水準ではないか」と言い、年末までの 予想レンジは116-124円程度と想定している。

「市場は生き物ですね。落ちてくるナイフを捕まえる状態の中で、 現時点で考えられることを話している」と断った上で、山口氏は、相場 が落ち着く要因として、良好な米経済指標や中国株・商品相場の落ち着 きなどを例に挙げた。

米国の金融政策に関しては、「過去数日間の相場の乱高下がひどい ので、9月の利上げの可能性は低下した。リスクマネジメントの観点か ら、先送りして、12月に行う可能性が高まった。ただ、12月は年末に近 づくので、相場が落ち着けば、10月の可能性もあると思う」と話した。 一方で、「米経済が鈍化して、利上げができないほどの成長減速となれ ば、1ドル=115円もあるだろう」と言い、利上げが見送られた場合の ドル安・円高の可能性にも触れた。

世界景気の不透明感

24日の外国為替市場では、ドル・円相場が一時116円18銭と1月16 日以来の水準まで円高が進行。6月5日に付けた直近の円安値125円86 銭から9円超の円急伸となった。中国経済の減速懸念から世界景気に対 する不透明感が強まったことが背景だ。

株式市場では、中国上海総合指数が25日、節目の3000を割り込み、 昨年12月以来の安値を付けた。日経平均株価も同日、半年ぶりに1万 8000円を割り込んだ。

山口氏は、「中国株の下落は続くとみているが、クライマックスの 水準に達しつつある。2500ぐらいまで下げるとみていて、500ポイント の下げ余地はあるが、想定よりも先に下落している」と言い、「中国発 の世界経済へのリスクは足元で行き過ぎ」と述べた。

米国の利上げ時期については、「過去数日間の相場の乱高下がひど いので、9月の利上げの可能性は低下した」と指摘。「リスクマネジメ ントの観点から、先送りして、12月に行う可能性が高まった。ただ12月 は年末に近づくので、相場が落ち着けば、10月の可能性もあると思う」 と話した。

米利上げ観測

フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を現行の0-0.25%から 25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ合計3-4回引き上 げ、1-1.25%程度に達したらいったん小休止に入ると予想する。年内 1回のほか、来年1-3月期、4-6月期にそれぞれ1-2回の実施を 想定し、「米国経済は来年後半ぐらいに循環的な景気のピークを付ける とみており、その前に利上げを行うと思う」と言う。

最近の金融市場の乱高下について、山口氏は、「長期投資家は、リ スクオフの動きで株から債券への動きがある。資金調達通貨である円・ ユーロから新興国株・クレジット市場などへ投資していたのが、1回巻 き戻す動き。短期筋は、目先は株ショート。今まで買っていたドル・円 を売る動き」と解説した。

ユーロ・ドル相場の見通しについては、年末に1ユーロ=1.06ドル 程度と、従来の1.05ドル程度からユーロ高・ドル安方向に修正した。年 内の予想レンジは1.06-1.18ドル程度。「ユーロ安が進むとのイメージ を持っていたが、ドル安が進み、足元でユーロ・ドルが反発している。 ただ、ユーロの上振れは、ユーロ圏経済にネガティブ。ユーロ安がもう 1度始まるだろう」と語った。

24日の海外市場でユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1714ドルと 、1月15日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだ。

欧州中央銀行(ECB)の政策に関しては、「原油安を受けて9月 のインフレ率がマイナス圏に落ちる可能性がある。インフレ期待が低下 して、デフレリスクが台頭すれば、来年9月に量的緩和を止めると言っ ていたが、延長する可能性がある」と見込んでいる。

山口氏は、1992年慶應義塾大学経済学部卒業後、同行入行。法人営 業、資本市場業務、為替セールスディーラーを経て、エコノミストとし て2001-04年にニューヨーク、04-13年ロンドン駐在。13年8月に現職 に就任した。

--取材協力:近藤雅岐.

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