JFEスチール社長:ベトナム投資で中長期成長捉える-北米も年内に

JFEホールディングス傘下、JFEスチー ルの柿木厚司社長はこのほど資本参加を決めたベトナムの大型製鉄所プ ロジェクトについて「すぐに黒字化することは考えづらいが、中長期的 な成長をつかまえるための投資判断だ」と語った。北米での自動車用鋼 板の生産拠点についての投資判断も年内めどに行いたい考えも示した。

24日のブルームバーグとのインタビューで述べた。JFEスチール は7月、台湾の大手石油化学メーカー、台湾プラスチックがベトナムに 建設中の一貫製鉄所事業に出資し技術供与を行うと発表。JFEの出資 比率は5%で約270億円を投じる。今秋以降に稼働予定で粗鋼生産量は 年700万トンの計画。

柿木社長は「少子高齢化や企業の海外進出もあり中長期には国内の 鋼材需要が伸びることは考えづらい」と指摘。「成長するには東南アジ アを中心としたマーケットが一番大きい」として、今回の投資で「出資 比率以上の製品をJFEブランドで販売できるよう確保する」という。

同事業では将来的に年2000万トン以上への拡張が計画されている が、具体化しているのは今回投資を決めた第1期のみ。今後の需要動向 やJFEスチールがどのような役割を果たしていくのか考える必要があ るとして、追加投資の可能性については「現段階では白紙」とした。

また、自動車販売が好調な北米市場に生産拠点を構える考えも示し た。「我々は自動車用の拠点を持っておらず、できれば年内ぐらいに何 らかの方向性が出せればと思っている」と語った。他社との提携や独自 での進出などいくつかの投資計画を練っている状況という。

若返りに危機感

柿木社長は4月に社長に就任した。主に人事部門を歩んでおり、重 要課題の一つに人材育成を挙げた。鉄鋼業界は1985年のプラザ合意を挟 んだ円高不況で採用を凍結した経緯がある。その結果、団塊世代の大量 退職による世代交代で40代後半以上の人材が極端に足りない状況だ。

JFEスチールの場合、2003年の統合会社誕生後に入社した社員が 全体の約4割を占める。これが10年後には8割となり、製造現場での平 均年齢は13年の41歳から22年には37歳にまで若返ると試算している。

こうした事態に柿木社長は「若返りは武器ではあるが危機感も持っ ている」と指摘。現場での技能伝承を強化するため50代後半以上の熟練 した技術を持ち、若手指導を専門とするテクニカルエキスパートと呼ば れる人材を現在の約160人から17年度までに200人に拡大する方針。新た に任命するほか、65歳の定年を迎えた人材の雇用延長で対応する。

技術開発では研究開発費を10%、研究員の人数を7%現状よりも増 やす計画。外国人や女性の研究者の採用を増やすことで「技術開発を活 性化させる」ことも狙う。今期からの3年間では、製造現場や技術職で の女性採用比率を毎年それぞれ10%を目指すとしている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE