ユーロが最高の安全通貨に浮上-元切り下げに揺れる外為市場

ユーロが混乱時に安全通貨になり得るという 考えは数週間前には非常識に思われていた。しかし、人民元の実質切り 下げや株式市場の弱気相場入りなどで世界が動揺する今、ユーロがまさ に安全通貨と化している。

ユーロは過去1カ月に先進国通貨のバスケットに対して4%強上昇 し、先進国通貨では値上がり率最高。ユーロはドルや円、スイス・フラ ン、ポンドよりも広く世界の主要通貨に対して上昇しており、欧州中央 銀行(ECB)がユーロの供給を拡大する中でも値上がりしている。

ユーロ上昇はギリシャ危機後のユーロ圏に対する信頼感の表れだ が、輸出を抑制しインフレを鈍化させる可能性があるだけに、ECBに よる景気てこ入れの取り組みを複雑にする。

コメルツ銀行のストラテジスト、トゥ・ラン・ニュエン氏(フラン クフルト在勤)は「質への逃避資金が主にユーロを目標としているのは 驚きだ。ECBは傍観せず、ユーロ相場を口先で押し下げようとし始め るかもしれない。それが当局にとってインフレを実現する最も重要な手 段だ」と指摘した。

中国による今月の元切り下げショックは新興国市場の動揺をあお り、低金利のユーロで資金を借り入れるキャリートレードの手じまいを 促している。また、9月の米利上げ観測に疑念が高まっていることも、 ユーロの対ドル相場を支えている。

ユーロは24日、1ユーロ=1.17ドルを上抜けした。この大台を突破 したのはスイスがフランの対ユーロ相場上限を廃止した1月15日以来。 ユーロは3月に付けた12年ぶりの安値から12%上昇した水準にある。

こうした展開はECB当局者も大方の為替ストラテジストも想定し ていなかった。3月末時点の調査ではユーロが年内に現行水準まで上昇 すると予想したのはアナリスト69人中わずか3人だった。ドラギECB 総裁は為替レートに照準を合わせて量的緩和(QE)を使うことは一貫 して否定しきたが、ユーロ安がもたらす恩恵は認めている。

原題:Euro Emerging as Premier Haven in Market Rocked by Devaluations (抜粋)