FRB議長、グリーンスパン氏の忠告生かせるか-利上げ検討で

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グリースパン元米連邦準備制度理事会 (FRB)議長は1998年に、世界が金融の混乱に見舞われる中で米国が 繁栄のオアシスにとどまることはできないと警告した。この忠告が今も なお当てはまるかどうか、現議長のイエレン氏は判断する必要がある。

中国を発端とした新興国市場の総崩れを引き金に、米国の株式相場 は売り込まれ、ダウ工業株30種平均は24日の取引開始後数分で1000ドル 余り下落。ニューヨーク時間午後4時15分(日本時間25日午前5時15 分)時点では588ドル(3.6%)安に持ち直した。市場の動揺を受けて投 資家の間では、耐久力のある米経済が海外諸国の景気の弱さに耐え得る か、FRBの利上げ開始のタイミングにどう影響するのかという疑問が 浮上している。

FRB金融政策局でエコノミストを務めた経歴を持つジョンズ・ホ プキンス大学のジョナサン・ライト教授は、「市場の混乱が続けば、当 局は次の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るだろう」と 予想。「市場の振幅はかなり大きくなりつつあり、成長やインフレに対 する下向きのテールリスクを強めている」と指摘した。

投資家は9月利上げの確率を急激に下方修正しており、9月16、17 両日のFOMCでの利上げの確率は22%と、先週初め時点の48%から大 きく低下している。

バークレイズ・キャピタルのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ ゲーペン氏は顧客向けリポートで、「初回利上げ時期の予想を2015年9 月から16年3月に修正した」ことを明らかにした。

年内利上げ

アトランタ連銀のロックハート総裁は24日、カリフォルニア州バー クレーでの講演で、米利上げが年内に実施されると引き続き予想してい ると述べつつも、ドル高と人民元安、原油安が米経済見通しを複雑にし ているとの見方を示した。9月の利上げ開始を支持するか、あるいは利 上げ先送りを望むかについては明言を避けた。同総裁は8月10日時点 で、「私の見解では9月の可能性は引き続き確実にある」と記者団に語 っていた。

イエレンFRB議長は7月15日の議会証言で、成長率の高まりや失 業率低下の見通しが実現すると想定し、当局が年内に利上げする可能性 は高いとの認識を示していた。

サマーズ元米財務長官は24日のツイッターへの投稿で、1997-98年 のアジア金融危機の記憶を連想させ、世界が「極めて深刻な状況の初期 段階にある可能性がある」と指摘。米当局が利上げに動くことに反対の 意見を示した。サマーズ氏は97-98年に財務副長官を務め、アジア市場 の混乱の影響に対応した。

同氏は24日のインタビューで、「リスクバランスは金融の不安定化 と成長鈍化、ディスインフレ、デフレに傾いている。利上げする時期で はない」と説明した。

アジア危機想起

JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケ ル・フェロリ氏は「アジア金融危機の嵐が吹き荒れた98年との明確な類 似点が幾つかある」と指摘した。

97-98年同様、新興国市場は波乱の展開となっており、世界の成長 や金融市場の安定に不安が高まっている。97-98年危機は米ヘッジファ ンドのロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)を実質 的破綻に追い込み、グリーンスパン議長(当時)による利下げで終息し ていた。

ただ、今回の混乱はこれまでのところ、以前ほど深刻化しておら ず、大手米銀の財務面がストレスを受けたという話は市場ではほとんど 聞かれない。また、新興国が悪影響を受けているとはいえ、多くの国が 国際通貨基金(IMF)に支援を求めた97-98年よりも良い状況にある と、キャピタル・エコノミクスの米国担当チーフエコミスト、ポール・ アシュワース氏は24日付の顧客向けリポートで述べた。

原題:Yellen Faces Greenspan Oasis Warning as She Weighs Rate Rise (3)(抜粋)

--取材協力:Matthew Boesler、Christopher Condon.