【FRBウオッチ】米国大統領とバブル、2期目後半に崩壊

米国で最も大きな力を持つ者は大統領。二番 目がFRB(米連邦準備制度理事会)議長といわれる。この権力構造が バブルの膨張と崩壊に深く関与してきた。

本稿では、歴代の米国大統領とFRB議長の連携を中心軸に据え、 米国発基軸通貨グローバルバブルの中核に迫る。

チャートは1993年から現在までのS&P500種株指数の背景に、93 年1月に就任したビル・クリントン42代大統領、2001年就任のジョー ジ・W・ブッシュ43代大統領、09年就任のバラク・オバマ44代大統領の 時代別に、民主党は党カラーの青、共和党は赤で配置した。

クリントンとブッシュ両大統領の下ではいずれも2期目の後半で株 価がピークアウトして、バブル崩壊が始まっている。ただし、株価ピー クアウトのタイミングの微妙な差と、バブルの規模の相違が両大統領の 明暗を分ける形になった。オバマ大統領は今年から2期目後半に入って いる。

クリントン政権の時は、S&P500種株価指数が同大統領退任10カ 月前の2000年3月24日にピークアウトしていた。一方、ブッシュ大統領 の場合は、S&P500種が2007年10月9日にピークアウトした。2009年 1月20日の大統領退任まで株価ピークアウトから1年3カ月経過し、ク リントン大統領の10カ月より5カ月長かった。

バブル崩壊は時と共に加速

バブル崩壊は、ピークアウト当初には単なる調整とみる市場参加者 も多くいて、押し目買いを伴いながら乱高下を繰り返す。しかし時の経 過とともに押し目買いも少なくなり、崩壊テンポが相乗的に速まってい く。株価ピークから退任まで1年3カ月と長かったブッシュ大統領はそ の分、バブル崩壊の影響を強く受けたのである。

この株価ピークアウトのタイミングとバブルの破壊力の相違が両大 統領の明暗を分けた。クリントン氏の時はS&P500種のピークから大 統領退任時までの下落率が12%と浅く、景気後退入り1カ月半前にホワ イトハウスを離れることができた。その後の景気後退も実質国内総生産 (GDP)で見て、2001年第3四半期の前期比年率1.3%のマイナス成 長で最悪期を経過した。バブルの破壊力も相対的に小さかった。

これに対してブッシュ前大統領が退任した2009年1月20日までに S&P500種はピークから46%下げ、大恐慌以来最悪と言われるグレー トリセッション入りから約1年2カ月が経過していた。実質GDPもブ ッシュ大統領在任中の08年第4四半期にマイナス8.2%に沈んでいた。 史上最悪と言われる住宅・金融バブル崩壊の嵐の中で、ブッシュ氏はホ ワイトハウスを失意のうちに去っていった。

FRB信頼が裏目に

ブッシュ元大統領は就任前の2000年12月13日にグリーンスパン FRB議長と会談して、金融政策に全幅の信頼を表明していたが、これ が完全に裏目に出てしまった。

グリーンスパン議長は2004年11月の2期目の大統領選に向けて、景 気が過熱する中で金融緩和政策をゆっくりと解除する政策をとり、ブッ シュ再選を側面支援した。しかしこの金融緩和策の長期化により住宅・ 金融バブルは史上最大規模に膨らみ、ブッシュ大統領の2期目後半に崩 壊した。

金融政策は使い方を誤るとバブルが生じ、その破裂により経済・社 会や政治システムまで内部から突き崩してしまう。まさに麻薬のような 副作用を伴う。

オバマはブッシュよりも高リスク

オバマ大統領はグレートリセッション最中の2009年1月に就 任。2012年11月に再選されて今年から2期目後半に入り、既に8カ月経 過した。退任まで余すところ1年5カ月。S&P500種は今年5月21日 に付けた2130.82が過去最高値だ。

この水準が今回の上昇相場のピークとなれば、オバマ大統領は任期 満了まで前大統領より5カ月早くバブル崩壊過程に入ったことになる。 バブル崩壊が既に始まっているとすれば、その破壊力は時間の経過とと もに相乗的に高まっていく。

米国の金融当局が続けてきたゼロ金利政策と量的緩和は、基軸通貨 ドルを通じて世界に拡散されており、その衝撃は過去に例を見ないもの になりそうだ。

グローバブルバブルの崩壊は、自国通貨への市場の信認が相対的に 低い非基軸通貨国から始まる。中国のバブル破裂を「対岸の火事」と見 ていると、本丸崩壊の衝撃は倍加されていく。オバマ大統領はブッシュ 前大統領よりもさらに厳しいバブル崩壊に直面するリスクがあるよう だ。

(【FRBウオッチ】は記者個人の見解です)

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