【今週の債券】長期金利は低下か、「買い進まざるを得ない」との見方

今週の債券市場で長期金利が0.3%台で低下 余地を試すと予想されている。中国をはじめとする世界的な景気減速懸 念からリスク回避の動きが強まっており、国内金利にも低下圧力が掛か りやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.30-0.40%となった。前週は0.35%と3カ月半ぶりの水準 まで下げた。中国の製造業関連指標が6年半ぶり低水準となったことで 世界経済の先行き不安が広がり、アジア株式相場が大幅安となり、リス ク回避の買いが優勢となった。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「 今回の動きは一種のシステミックリスク」だとし、20年債や30年債利回 りで10-15ベーシスポイント(bp)の低下はあり得るだろうと言う。「状 況は簡単に変わりそうになく、5年や10年の金利もボトムと思っていた 水準をすでに割り込んでいる。買い進まざるを得ない」と話した。

前週末の上海総合指数は大幅続落し、約1カ月ぶり安値を付けた。 週間下落率は11.5%と6月末以来の大きさ。中国の景況感は減速感が強 まっていたところに人民元切り下げと天津港の大規模な爆発事故が追い 打ちをかけている。

メーンシナリオの巻き戻し

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、先週は、投資家が中国 不安を背景に年初来のメーンシナリオ(景気再加速、米利上げ)に立っ たポジション、株高・債券安・ドル高・商品高などの巻き戻しを活発化 したと指摘。「この先投資家は中国のバブル崩壊とグローバル景気の再 失速に賭けるか、年初来のメーンシナリオに戻るか、いずれかの選択を した上でポジションを構築する必要に迫られる」と言う。

財務省は25日に40年利付国債の利回り競争入札を実施する。8回債 と銘柄統合するリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は1.4% に据え置きとなる見込み。発行予定額は前回債と同額の4000億円程度と なる。

27日には2年利付国債の価格競争入札が予定されている。クーポン は引き続き0.1%となる見込み。発行予定額は前回債と同額の2兆5000 億円程度となる。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物9月物147円90銭-148円20銭

10年国債利回り=0.34%-0.36%

「例年8月は季節的に金利低下バイアスが強い。月末の年限長期化 の下位需要もあり、どちらかと言うと金利は低下傾向ではないかとみて いる。 株価が下げ止まるか、原油など商品市況、海外債券市場の動向 などを見極めたい。米利上げがあるのか、ないのか、織り込み度合い と、米10年債利回りが2%を割り込むかが焦点になる。40年債や2年債 の入札は無風だろう。相場への影響はあまりないとみている」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物9月物147円85銭-148円50銭

10年国債利回り=0.30%-0.37%

「中国含むアジア経済の鈍化は変わらず、FRBの利上げ姿勢も簡 単には変えられず、商品市況や新興国市場に圧力が続くとみている。新 興国市場の損失を先進国市場で穴埋めするなど、資金フローに変化が見 られる。生保は超長期債をあまり買っていないが、ドル安方向の中で外 債投資にも行きづらく、国内回帰へとなろう。超長期債は、今週は40年 債入札の前後から買いが入り、フラットニングする可能性が高い」

◎みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジスト

先物9月物147円50銭-148円50銭

10年国債利回り=0.30%-0.40%

「本格的に金利低下を試すかどうかは分からないが、金利上昇余地 は非常に乏しい。20年債入札を普通にこなしたので、今週の40年債と2 年債の入札も問題ないとみている。超長期ゾーンの主な売り手が年金資 金から海外投資家にシフトしてきているが、海外投資家のフローは外債 対比での割高・割安に連動しやすい。そのため、円超長期ゾーンがある 程度割高な状態でないと、売り手が乏しくなり需給は拮抗しないと考え られる。カーブ上で超長期ゾーンが強含みやすい展開が続くだろう」

--取材協力:船曳三郎、池田祐美 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典