9月の米利上げ案は見直し必至か、7月FOMC後に経済一変

米連邦準備制度理事会(FRB) のイエレン議長ら当局者が7月28、29両日に連邦公開市場委員会 (FOMC)で金融政策を議論してから3週間が経過した今、経済状況 は異なる様相を呈している。

7月のFOMC後に公表されたデータは、労働市場の改善の持続を 示した一方で、低過ぎるインフレのリスクや海外経済の一段の脆弱(ぜ いじゃく)性を浮き彫りにしている。このためFOMCは見通しを見直 す必要があり、9月利上げ案を取り下げる公算が大きいと投資家に受け 止められている。

7月の議事録とその後の状況を以下に比較した。

◎雇用は続く:

展開:ポジティブ

7月議事録:「FOMC参加者は労働市場に今年初め以降、目立っ た改善があったと受け止めたが、多くの参加者は一層の改善の余地があ るとの見方を示した」

FOMC後:労働市場は回復が続いており、8月7日に発表された 7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比21万5000人増と、今 年初め以降の平均である21万1000人増を上回った。

◎賃金は疑問符:

展開:ネガティブから中立

7月議事録:「労働需要の持続的増加は依然として、幅広い賃金上 昇につながっていないようだ。賃金の上昇が加速し始める時期につい て、かなりの不確実性が残っている」

FOMC後:賃金が上向く初期の兆しに最新統計は水を差した。7 月31日に発表された第2四半期(4-6月)雇用コスト指数の賃金・給 与部分は前期比0.2%上昇と、1982年の調査開始以来で最低の伸びとな った。1-3月(第1四半期)は0.7%上昇だった。

◎中国リスクは拡大:

展開:ネガティブ

7月議事録:「幾人かの参加者は、中国経済の重大な減速が米経済 見通しにリスクを突き付ける可能性があると指摘した」

FOMC後:中国経済指標は弱く、輸出入は7月に予想より縮小し た。さらに、中国は8月11日、より柔軟な為替相場システムにシフトし 人民元を実質的に切り下げた。突然の切り下げは中国の景気減速が予想 より深刻で、同国政府が人民元安を容認して成長のてこ入れを図ってい るとの観測を高めた。

◎インフレ率は動かず:

展開:ネガティブ

7月議事録:「インフレは引き続き委員会の長期目標を下回って推 移しているが、労働市場の一層の改善に加え、エネルギー価格や輸入物 価の下落という一過性の影響の剥落に伴い、中期的には2%の目標に向 かって徐々に上昇するとメンバーは予想した」

FOMC声明は、インフレ率が「中期的に」2%に戻ると「合理的 に確信できる時に金利は上昇すると説明した。

FOMC後:インフレ率が目標に戻るまでの時間は長期化してい る。7月会合後から今月19日までに原油価格はさらに16.4%下落した。 金融当局がインフレ目標の基準とする米個人消費支出(PCE)価格指 数は6月に前年同月比で0.3%上昇と、3年余りにわたり目標を下回る 状況が続いている。

BNPパリバの米国担当エコノミスト、ローラ・ロスナー氏は 「FOMC全体として合理的に確信できるということの意味が私にはよ く分からない。当局はインフレに関するリスクについてより明確に説明 する必要がある」と指摘した。

原題:Yellen’s Fed Faces A Changed Economic Reality After July Meeting (抜粋)

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