長期金利3カ月半ぶり低水準、世界株安で買い優勢-高値警戒で売りも

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債券市場では長期金利が3カ月半ぶりの低水 準に達した。中国をはじめ景気減速懸念の強まりを背景にした世界的な 株安が買い手掛かりとなった。半面、高値警戒感からの売りなどで下落 に転じる場面も見られた。

21日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の339回 債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値よ り0.5ベーシスポイント(bp)低い0.35%と、5月1日以来の低水準で開 始した。いったん0.355%を付け、午後の取引開始後も同水準を付ける 場面があったが、再び0.35%に下げている。

20年物の153回債利回りは0.5bp低い1.12%と、新発債として5月1 日以来の低水準で開始。一時1.13%まで売られたが、その後は1.12%で 取引されている。新発30年物の47回債利回りも3カ月半ぶり低水準の 1bp低い1.36%を付けた後、いったん1.38%に上昇。その後は1.37%で 推移している。

みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャーは、「世界的 な金融市場の動向に焦点が当たっている。リスクを意識している人もお り、債券はしっかり。リスク要因を意識して、各市場が先走って、投資 回転が速くなっている」と話した。

長期国債先物市場で中心限月9月物は前日比6銭高の148円13銭で 開始。直後に148円14銭と、前日に付けた4月以来の高値を更新した が、その後は水準を切り下げ、5銭安まで下落。午後は前日の終値付近 でもみ合いとなり、結局は1銭安の148円06銭で引けた。

JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストは、「成長減速懸 念が徐々に強まっていた中で、中国株暴落、人民元切り下げ、商品市況 下落、前日の米株急落で懸念が現実化した」と指摘。「10年債利回り の0.35%は投資家も抵抗感があり、国内では絶対金利水準とのせめぎ合 いもある」と言う。

20日の米国債相場は続伸。10年国債利回りは前日比6bp低下 の2.07%程度で引けた。中国はじめ世界各国の株式相場が下げ、米国株 も取引終了にかけて下げ幅を広げた。世界的な株安を背景にリスク回避 の動きから、安全資産の米国債への需要が強まった。

この日のアジア株式相場は急落。財新伝媒とマークイット・エコノ ミクスが発表した8月の中国製造業購買担当者指数(PMI)が2009年 以来の低水準となり、世界的な需要の弱さが意識された。東京株式市場 でTOPIXは前日比3.1%安、日経平均株価は597円69銭安となった。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「4月と同様、海外勢 主導の相場上昇だが、当時と異なりインフレ期待が低下している分、よ りファンダメンタルズの裏付けがある。4月のように需給要因で突如相 場が急落する可能性は低く、下落転換する際には1月のように、中国の 財政出動など、相応に説明可能な材料が見えるだろう」と言う。

日銀がきょう実施した長期国債買い入れオペ3本(総額1.2兆円程 度)の結果によると、残存期間1年超3年以下、5年超10年以下の応札 倍率が前回から低下した。一方、3年超5年以下は上昇した。

みずほ信託銀の吉野氏は、「日銀の国債買い入れオペは、相場にそ れほど影響していないと思う」と話した。

--取材協力:池田祐美.

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