ドル・円は124円付近、新興国の通貨安進行でドルが値を戻す

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東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ド ル=124円ちょうど付近で推移。米連邦公開市場委員会(FOMC)議 事録を受けた9月の利上げ期待後退でドル売りが先行した後、新興国の 通貨安を背景にドルが値を戻す展開となった。

20日午後3時27分現在のドル・円相場は124円04銭付近。ドルは朝 方に123円79銭を付けた後、下げ渋る展開となり、午後には一時124円07 銭まで水準を切り上げた。前日の海外市場ではFOMC議事録公表後に 一時123円69銭と7月31日以来の水準までドル安・円高が進んでいた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司エグゼクティブ・ ディレクターは、カザフスタンやトルコなど新興国の通貨安がドル買い につながっていると説明。「FOMC議事録がハト派との解釈がある割 には、タイでテロが発生するなど、新興国にとっては良くない環境にな っている」と言う。

カザフスタンの通貨テンゲは一時1ドル=257.21テンゲと、変動相 場制移行後の最安値を記録した。また、トルコではリラが急落し、一時 初の1ドル=3リラ台を付けた。

FOMC議事録

米連邦準備制度理事会(FRB)が19日公表したFOMC(7 月28、29日開催)の議事録では、「ほぼ全メンバー」が「経済成長が十 分力強く、また労働市場の状況について、インフレ率が中期的に委員会 の目標に戻っていくと合理的に確信できるだけの改善を見せたというさ らなる証拠が必要になる」との見解を示した。

また、「賃金の上昇が加速し始める時期や、それが物価上昇の加速 につながるかどうかについて、かなりの不確実性が残っている」と指 摘。その上で、「大部分」の当局者は、エネルギー価格やドル上昇によ るインフレへの下向きの圧力は「一過性のものにとどまる」と予想し た。

三菱東京UFJ銀行経済調査室の栗原浩史チーフ米国エコノミスト (ニューヨーク在勤)は、「初回利上げをめぐるFOMC議事録の内容 は声明の印象とあまり変わらないイメージ」だと説明。インフレがハー ドルだとし、「9月利上げは早いとの感触」と話した。

FOMC議事録の内容を受けて、米国債相場は反発。金融政策の見 通しに最も敏感な2年債利回りは約6ベーシスポイント(bp)低下 の0.66%と、7月31日以来の大幅な下げとなった。

栗原氏は、9月会合までに雇用統計はあと1回しか発表されないと した上で、「雇用統計で賃金加速の兆しを確認してインフレ率が2%に 戻る合理的な確信を得るという流れだが、1回の雇用統計で利上げ反対 派の同意を得るのは難しいだろう」とみる。

米国で19日に発表された7月の消費者物価指数(CPI、季節調整 済み)は前月比で0.1%上昇と、前月の0.3%上昇から伸びが鈍化した。 ブルームバーグがまとめた市場予想では0.2%上昇が見込まれていた。

ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1149ドルと、14日以来の水準 までユーロ高・ドル安が進み、その後は1.11ドル台前半でのもみ合いと なった。

みずほ証券の金岡直一FXストラテジストは、「米国の9月利上げ が確定していない分、ボラティリティが高まってしまうような面があ る」と指摘。この日の米国時間にはフィラデルフィア連銀が8月の製造 業景況指数を発表するが、ニューヨーク連銀の同指数が不振だっただけ に、「ドルが勢いよく買われる状況にはない」とみる。

--取材協力:西前 明子.