頭がいい者は優しい人間になること選べ-「冷淡」CEOの真意

米紙ニューヨーク・タイムズ (NYT)は15日、アマゾン・ドット・コムの企業文化について報じ た。記事は同社を、社員が互いをけなし合い、病気療養のため休暇を取 れば失点となるような熾烈(しれつ)な職場として描いている。この記 事の中には、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が2010年にプリ ンストン大学卒業式で述べた祝辞の中のエピソードが紹介されている。

NYT紙によれば、それはこうだ。10歳だったベゾス氏は祖母に喫 煙をやめてほしいと思い、たばこを1回吸うたびに寿命がどれだけ縮む かを計算して説明した。すると祖母は泣き出してしまった。記事はそこ から一足飛びに現在に移り「数十年後、同氏は他人に指図したがる性格 や挑戦的と受け止められるほどのずけずけとした物言い、数値の力への 絶対的信頼といった当時と同じ資質をてこに、テクノロジーと小売りの 巨大企業を築き上げた」と結論付けている。

しかしプリンストン大学での祝辞の全体を読めば、ベゾス氏がほぼ 真逆のメッセージを伝えようとしていたことが分かる。ベゾス少年は1 服で何年寿命が縮むかの話をして「算数がよくできるね」などと祖母に ほめてもらいたかったのだ。ところが祖母が車の中で泣きだしてしま い、運転していた祖父は路肩に車を止めて説教した。「ジェフ、頭がい いより優しい人間になることの方が難しいと、いつか君にも分かるだろ う」。ベゾス氏はこの言葉を46年間ずっと覚えていたという。

そこでベゾス氏は学生たちを前に、生まれつき頭が良い人は宝くじ を当てたようなその幸運に頼りがちになってしまうものだが、そうなっ てはいけないと諭し、「頭の良さは与えられたもの、優しさは選ぶも の」だと語っていた。

祝辞のテーマは、人が意識してお互いに優しくし合うことの重要性 であって、頭の良さを武器にすることではなかった。適者生存の法則に 従って最高のアイデアを自分のものにするため容赦なく出し抜き合うと いうNYTが描いたアマゾンの企業文化とは一致しない内容だ。

原題:What Jeff Bezos Really Told Princeton Grads About Kindness (抜粋)

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