天津爆発:中国は学んだか-SARS危機など経て変化の兆しも

中国の天津で有毒物質の保管倉庫が爆発して 多数の死傷者を出した事故は、中国社会の安全性に対する疑問をあらた めて浮かび上がらせた。地元住民は強く反発し、国営メディアは珍しく 批判的な報道を行っている。中国当局は過去に国内で災害が起きた際に 沸き起こった市民の怒りから学び、対応を変えつつある。

天津での爆発による死者は少なくとも114人に上る。過去の災害時 同様、市民はソーシャルメディアで疑問の声を上げた。「どうしてこん なことが起きてしまったのか」「政府は原因究明や犠牲者を助けること より情報統制に躍起になっていないか」といった問い掛けだ。

天津港近くのマンションを2年前に購入した会社員のジャック・チ ャンさんは「党と政府がわれわれを見捨てることはないと信頼していた が、爆発から5日経っても当局から何ら具体的な情報を得られないし、 何の支援もない。非常に失望している」と話した。チャンさんには7歳 の娘がいる。

自宅からの退去を余儀なくされた住民らの怒りを受け、中央政府は 景気減速下で社会不安が広がるのを避けようと、こうした批判に対処し つつあるように見える。

共産党は爆発の真の原因を究明する方針を繰り返し表明。国務院は 有毒化学物質の保管方法の見直しを命じた。現地入りした李克強首相 は、負傷者が治療を受けている病院を出た際、香港のテレビ局からの予 定外の質問にも答えた。

こうした対応は過去の災害時に見られた当局の沈黙とは対照的 だ。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)まん延の際、政府は当 初、この病気に関する情報を公表しなかった。08年にメラミンが混入し た粉ミルクを飲んで乳幼児6人が死亡した事件は、規制のいいかげんさ に対する消費者の疑念を強めた。

中国人民大学の毛寿竜教授(行政学)は「国民の信頼が揺らいだ過 去の危機時と同様に、今回の爆発は中国当局が抱える多くの問題を顕在 化させた。しかし当局は今回、危機管理を迅速に学んだことも示した。 対応には既に変化の兆しが見える」と述べた。

原題:Tianjin Blasts Spur New Government Response to Public Distrust(抜粋)

--取材協力:Keith Zhai、David Tweed.

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