ヘッジファンドめぐる夏の不愉快な研究-リターン見掛けの半分

ヘッジファンドのリターンが本当は見掛けの 半分程度にすぎないという、実に不愉快な研究報告を大学教授らが公表 した。ファンド業界の全体的な方向性に影を落とす動きだが、うだるよ うな暑さで学者らが思いとどまることはなかったようだ。

研究報告によれば、ヘッジファンドのデータベースが運用成績を集 計する方法には特有のバイアスが存在し、業界の実際のリターンは見掛 けの半分程度にすぎない。データからバイアスを除去して再計算する と、1996年以降の年換算の平均リターンはプラス12.6%から同6.3%に 低下するという。

バイアスを取り除くことで、最大ドローダウン(下落率)とファン ドのボラティリティ(変動性)が共に拡大し、リターンの統計分布の特 徴を示す重要指標である尖度(せんど)と歪度(わいど)も著しく変化 した。

米マサチューセッツ大学アマースト校のミラ・ゲトマンスキー准教 授(金融学)とマサチューセッツ工科大学 (MIT)のアンドルー・ ロー教授(金融学)、ロー氏が経営するアルファシンプレックス・グル ープのピーター・リー氏による今回の研究は、リッパーTASSのデー タを利用した。ただ他のサービスにも同じようなバイアスが存在すると いう。ブルームバーグもヘッジファンドの運用成績を集計し、さまざま な投資戦略のリターンの指数をメンテナンスしている。

営業目的

バイアスは、ヘッジファンドがこれらのデータベースに運用成績を 自主的に申告しているという事実に起因する。研究報告によると、彼ら がデータを渋々渡している主な理由は営業目的であり、誇示するに値す る成績が実現して初めてリターンのデータ提供を開始するのが一般的 だ。それらのファンドは、初めてデータべースに加わる時点で以前のリ ターンを含むため、平均リターンを押し上げる「バックフィル・バイア ス」あるいは「インスタントヒストリー・バイアス」が生じる。

例えばリターンがひどい数字になれば、ファンドはいつでもデータ ベースへの申告をやめることが可能であるため、「エクスティンクショ ン(消滅)バイアス」を生む場合もある。2014年には研究対象のデータ ベースの消滅率が26%に上昇しており、これはヘッジファンドの数自体 が減少したか、そうでなければリターンの報告を望むファンドが減って いることを意味している。

研究報告は「平均的に見て、さまざまなサンプリングバイアスの調 整後にヘッジファンドが日常的に2桁のリターンを生むことはない」と 結論付けており、金融学教授も時に痛烈な肘鉄を食らわすことが裏付け られた。多くの教授のブレザーに肘当てがあるのもうなづける。

原題:Buzzkill Academics Say Hedge Funds Do Half as Well as You Think(抜粋)

訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 内田良治 +81-3-3201-3396 ruchida2@bloomberg.net 翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先: 小針章子 +81-3-3201-8879 akobari@bloomberg.net 記事についての記者への問い合わせ先: ニューヨーク Michael P. Regan +1-212-617-7747 mregan12@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Michael P. Regan +1-212-617-7747 mregan12@bloomberg.net

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