クオンツ運用者は数字がお好き,金融工学で見抜く投資家の誤り

クオンツ投資会社のアカディア ン・アセット・マネジメントは1日に3回、世界で4万銘柄の株式につ いて相対的な妙味と予想されるリターンをはじき出す。5月にボストン の本社でインタビューに応じたチャーチル・フランクリン最高経営責任 者(CEO)は「われわれは数字が好きなんだ」と笑いながら話した。

証券の価格決定における非効率を見つけ出すことが、アカディアン の投資の神髄だと向かいに座るジョン・チショーム最高投資責任者 (CIO)が説明した。「人は投資判断をする際に、体系的に誤った行 動を取る」という。

例えば好決算が続いた企業について、その状況を今後にも当てはめ て株価を押し上げてしまう。そのようなバリュエーションを支える利益 拡大が継続する可能性は低いにもかかわらずだ。こうした投資家の誤り は株式の幾つかの特性と結びついている。「クオンツの言葉ではこれを ファクターと呼ぶ。われわれはこの誤りから得られそうな利益を経験的 に算出する」とチショームCIOが解説した。

アカディアンは市場とマクロ経済の現環境を織り込んだモデルを使 って、特定のファクターから近々得られそうなリターンを予測する。そ して、「そういうファクター、つまり非効率、に対するエクスポージャ ーを最大にするポートフォリオを組む」のだという。

この戦略が奏功し、アカディアンのグローバル・オールカントリ ー・エクイティ・ストラテジー(運用資産85億ドル=約1兆1000億円) は2003年の運用開始から15年6月30日までで、手数料後のリターンがベ ンチマークを1ポイント上回った。同社は機関投資家からの預かり資 産、約750億ドルを40以上のストラテジーで運用する。ボストンに加 え、ロンドンとシンガポール、シドニー、東京に拠点を構える同社では 合わせて300人程度が働いている。

チショームCIOは壁掛けの大型モニターに例を示して見せてくれ た。同CIOがキーボードで入力すると、マイクロソフトについてのデ ータが複雑なスプレッドシートに表示される。同CIOが「伝統的なバ リュエーションの指標」と説明する株価純資産倍率(PBR)や株価収 益率(PER)などの6つが画面の右の方に示されている。

同CIOによれば、これら6つには関連があり、1つの指標に基づ いて株価が割安な場合、他の指標から見ても割安であることが通常だと いう。アカディアンは、本質的にこれらの平均である企業本来のバリュ ーを算出。それを同業他社と比較してスコアを決める。スコア0は中立 で、1は1標準偏差分、同業他社より妙味があることを意味する。

さらに別のモデルを使うと、3月末時点に1標準偏差分割安だった 銘柄は4月にパフォーマンスが同業他社を0.512ポイント上回ったはず だということが分かる。さらにもう一つのモデルを使って将来の動きを 予測し、リターンを予想するのだという。

こうして最終的に売買する銘柄を決めるというチショームCIO は、「プロセスの下には大量のエンジニアリングがある」と話した。

原題:Acadian Quants Managing $75 Billion Exploit Investor ’Mistakes’(抜粋)