【クレジット市場】A+なのに金利妙味、拡大戦略で大量起債の住友不

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業績が好調な住友不動産は、シングルAクラ スの格付けを維持しているにもかかわらず、社債の調達コストが相対的 に高くなっている。安倍政権発足後の不動産市況回復に伴い、開発資金 調達で社債を大量発行。投資家は特定銘柄への集中リスクを考慮して、 より高い利率を求めている。

ブルームバーグデータによると、住友不は13年始めから14日まで に3300億円の社債を発行。同期間の不動産投資信託(J-REIT)を 含む不動産業界の総発行額の28.5%を占め、1位だった。17日時点で住 友不(日本格付研究所でA+)の10年債の対国債スプレッドは0.54% で、より格付けが低い同年限の野村不動産ホールディングス債(同A) の0.48%を上回った。

日本銀行の異次元緩和を背景とした都心部の不動産価格急騰で不動 産会社の業績は好調だ。安倍政権も国家戦略特区を推進する中で、大手 不動産は大型再開発を相次ぎ計画している。住友不は六本木や高田馬 場、大崎でプロジェクトを進めており、低金利の環境を生かして社債や 借入れを積極的に活用している。

大和証券の芹沢健自クレジットアナリストは、高格付けの住友不の 社債スプレッドが他社よりも乗っている背景として、「社債をたくさん 出しており、投資家が不動産にエクスポージャーを集中させるのにも限 界がある」と説明。住友不の10年債は表面利率が0.992%となってお り、「10年で1%程度生み出すような債券はそうない。クレジットから 見れば安心感もあり、投資妙味が残る」とした。

同社の広報担当は、社債の積極的な起債を続けるかどうかなどにつ いて、「コメントは差し控える」と述べた。

拡大戦略

住友不は今期(16年3月期)、3年連続で売上高、営業利益の過去 最高更新を達成するとの見通しを示している。有利子負債は6月末時点 で2兆8403億円と2年間で1612億円増加した。ブルームバーグ・データ によると、自己資本に対する負債の割合(DEレシオ)は改善傾向にあ るものの、3.46倍で三井不動産の3倍以上ある。

SMBC日興証券の川嶋宏樹アナリストは、丸の内などで優良物件 を多く抱える三菱地所と異なり、住友不は「時間をかけて開発して安定 収益を作ってきており、安定収益を固めている途上にある」と指摘。負 債拡大の背景には「開発案件が多く、支出が増えていく状況にある」こ とを挙げた。

住友不は都心を中心にオフィスビル賃貸事業を展開している。同社 の広報担当の鈴木俊哉氏によると、都心23区でのオフィスビルの保有・ 運営棟数は200棟以上で、不動産業界ではトップという。

また、分譲マンションについても、他社同様に強化する傾向にあ る。不動産経済研究所の調査によると、15年度の全国マンション供給計 画(戸数)で同社は前年度実績比2.7%増える見込み。業者別では2位 で、三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンスを上回る見通し だ。大和証のリポートによると、3月末の棚卸資産は8019億円と、不動 産業界では三井不動産の1兆505億円に次いで多い。

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