日本のスマホゲーム、高収益の裏に「おもてなし」-バー経営と共通点

悪の巨大企業を倒すため、ゲーム内のヒーロ ーが助けを求めている。ただ与えられた時間はわずか4日間-。スマー トフォン向けゲームの中で展開されるこうした期間限定イベントがダウ ンロード数や売り上げのランキング上昇に寄与している。

ディー・エヌ・エー(DeNA)とスクウェア・エニックス・ホー ルディングスが配信するスマホ向けゲーム「ファイナルファンタジー (FF)レコードキーパー」で行われる期間限定イベントは、日本のス マホ向けゲームが世界で最も高収益である理由の一つだ。ユーザーにダ ウンロードさせ、楽しんでもらった上で、最終的に課金まで導く。ビッ グデータの分析や心理学、そして感性が必要なゲーム運営の取り組み は、ライブ・オペレーションと呼ばれる。

DeNAの執行役員で、国内のゲーム事業を担当する渡部辰城氏は スマホ向けゲームの運営について、バーを経営するようなものだと話 す。バーをはやらせるには、料理やお酒の味に加え、コミュニティー作 りなどが必要。「気づいたら5年とか10年とか、このゲーム、ついつい やっちゃっているよなというのをイメージしています」と話す。

ゲームソフトを販売すればメーカーの仕事が終わりだった従来型の ゲームに比べて、インターネットに接続されたスマホ向けゲームは、ダ ウンロードした後の運営が重要になる。多くのゲームは無料で開始でき るため、どうやってユーザーにお金を使ってもらうかに知恵を絞る。日 本には収益化に成功しているメーカーが多く、調査会社アップ・アニー によれば、2014年の米グーグルやアップルの基本ソフト向けに作られた ゲームの収益の上位10社のうち5社を、日本のメーカーが占めた。

DeNAの渡部氏は日本のメーカーの特徴について、おもてなしの 気持ちが非常に強い、と分析する。

アナリスト

FFレコードキーパーの場合、イベントは初級、中級、上級などプ レーヤーのレベルごとに分けられている。同じレベルにすると、初心者 には難し過ぎ、上級者には面白くない、という状態になってしまうから だ。久しぶりに遊ぶユーザーには、特別にアイテムが与えられる場合も ある。

DeNAではゲームの難度などの分析のため、50人から成るチーム がゲーム内のデータを調べている。具体的には、イベント参加の有無や 遊んだ時間などに注目している。通常は、ゲーム運営の担当者からの依 頼を受けたアナリストが分析するが、データを受け取るまで半日ほどし かかからないという。

アップ・アニーの日本事業を担当する滝澤琢人氏は、従来のゲーム は製品の売り切りだったが、現在は継続的なサービスになっている、と 述べた。また日本の高収益なゲームメーカーの全てがこの方法で収益を 上げている、と話した。

ツイッター

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、人気の「パズル& ドラゴンズ」(パズドラ)で1人当たりの売り上げが高過ぎた場合、そ の後はあえて売り上げを下げるように運営している。「お金を使って後 悔してしまったというのが1回でもあると、そのユーザーは最後には離 れてしまう」と広報担当の橋本裕之氏は言う。

橋本氏によれば、パズドラの運営ではツイッターや自社のカスタマ ーサポートに寄せられた意見や要望を重視しており、運営現場にユーザ ーの要望や不具合が伝えられる仕組みになっている。ビッグデータは 「参考程度」の扱いだ。

調査会社ソーシャルベーカーズによると、パズドラの公式ツイッタ ーは約199万人に購読されており、国内でのランキングは11位。パズド ラより上位にはソフトバンクグループの孫正義社長や有吉弘行氏ら芸能 人、地震速報が並ぶだけだ。

スマホ向けゲームには、DeNAと資本・業務提携した任天堂も年 内に参入する予定だ。スマホゲームのノウハウのあるDeNAは、運営 で中心的な役割を担う。DeNAの渡部氏は、任天堂とは制作段階から 協議をしており、任天堂のゲームの面白さを損なわないまま飽きないで 遊べるゲームを作る、と述べた。