安倍政権:経済優先への「原点回帰」課題に-GDPマイナス

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内閣府が17日に発表した4-6月期の国内総 生産(GDP)の速報値は前期比年率で1.6%減と3期ぶりのマイナス 成長となった。安倍晋三政権は今年、戦後70年談話や安全保障法制に取 り組んだが、景気の先行きが不透明な中、専門家からは経済最優先の政 権運営へ「原点回帰」するよう求める意見も出ている。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士主任研究員は 「今国会を振り返ると、安倍政権は安保法案に時間をかけすぎた。それ も重箱の隅をつつくような議論に終始してしまった」と指摘。足元の景 気状況は底堅いとは言えないとの見方を示し、「今後はアベノミクスに 原点回帰すべき」と求めた。

安倍政権は安保法制関連法案の成立を目指し、今国会を9月27日ま で、戦後最長となる95日間延長。衆院特別委員会は、110時間超をかけ て安保法案を審議した。参院特別委も11日までに40時間以上開かれてい る。

政府によると、2014年の通常国会では30本のアベノミクスの成長戦 略関連法案が成立したのに対し、今国会では7月10日に成立した改正貿 易保険・特別会計法までで13本にとどまっている。自民党などが提出し た統合型リゾート(IR)推進法案(カジノ法案)は審議入りのめどす ら立っていない。

補正予算

モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミスト、ロバー ト・フェルドマン氏は、低調な経済指標と好調な税収を背景に、政府は 3兆円を超えない程度の補正予算を編成するとみる。補正予算は、経済 政策への回帰を果たすきっかけにもなると話した。その際、政府は来夏 の参院選を見越し、地方のインフラ整備に資金を投入するとの見方も示 した。

片岡氏は、14年4月からの8%への消費増税後の消費動向がさえな いとし、「消費下支えのための補正予算について議論すべき」と主張す る。具体策として、一律3万円の定額給付金の支給を挙げた。

支持率

NHKが7ー9日に行った世論調査では、内閣支持率は第2次安倍 政権発足以来最低の37%、不支持率は46%だった。景気が回復している と感じるかとの問いでは、「感じる」が14%、「感じない」が47%。安 保法制の整備を進めていることを「大いに評価する」が7%、「ある程 度評価する」が23%、「あまり評価しない」が32%、「まったく評価し ない」が32%だった。

支持率の低下がアベノミクスの構造改革に与える影響については見 方が分かれている。

フェルドマン氏は、大胆な改革を実行しなければ支持率が回復する ことはないとの認識だ。郵政民営化に取り組み、05年の衆院選で自民党 を圧勝へと導いた小泉純一郎政権の事例を挙げ、明確なリーダーシップ が必要だと述べた。

これに対し、JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは安 保法制をめぐる政権支持率の低下が、安倍政権に痛みの伴う構造改革を 尻込みさせる可能性があると危惧する。安倍政権は安保法制には「支持 率が下がってもいい」と腰を据えて取り組んでいるようだが、「経済政 策や構造改革にはそれほどの覚悟がない」との見方を示す。

政治評論家の浅川博忠氏は、来年夏の参院選に向け、反対意見も多 い環太平洋連携協定(TPP)や原発再稼働をめぐり、野党が国会などで 攻勢を強める、と話す。その場合、「経済政策、成長戦略が脇に置かれ てしまう可能性がある」との見方を示した。

--取材協力:日高正裕.

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