戦後70年経っても、「おわび」はしなければならない-社説

安倍晋三首相が14日に発表する戦 後70年談話について、過去の「おわび」を繰り返すよりも、未来志向で あることに重点を置く可能性がこれまでに示唆されている。筋の通った 話だと受け止める向きもあるだろう。70年という時間は長い。しかしな がら首相は過ちを犯そうとしているかもしれない。

問題は「過去を振り返る」「未来を見据える」の二者択一ではな い。心からのおわびをあらためて述べることは、日本に誇りと自信を取 り戻させるという首相自身が表明する目標と整合するばかりか、必要な 第一歩でもある。日本が自衛隊に世界でより重要な役割を担わせようと しているのなら、なおさらのことだ。

談話で何を述べようと中国と韓国の首脳は満足しないだろうと、安 倍首相の支持者の中には不満をあらわにする者もいる。中国政府はたび たび国民の反日感情をあおり、韓国政府はいわゆる慰安婦問題でこれま で日本が見せた取り組みは十分ではないと一蹴してきた。両国ともいま だに植民地支配での日本の行いを教科書で厳しく糾弾し、戦後日本が担 ってきたアジア経済の復興促進という役割を軽視している。

こうした不信感に関して、幾つか見落とされている点がある。ま ず、靖国神社参拝や保守強硬派の重要ポスト登用など、よく知られてい る安倍首相の歴史修正主義への傾斜は、同首相の誠意への信頼を減じて しまった。韓国や中国、東南アジア諸国に対し戦時の日本が取った行動 について、「侵略」といった言葉を用いて直接的かつ率直に述べない限 り、中国と韓国は今後もことあるごとにこの問題を提起するだろう。

特異な立場

次に、国家主義的な傾斜を隠そうとしない安倍首相は和解を進める 上で特異な立場にある。もちろん談話では、日本の兵士や市民が命を落 とし、犠牲を払ったことについて語ることもできる。しかし安倍首相か ら反省の意が示されれば、これまでの談話よりも感情的な重みを増し、 問題克服に向け一段と大きな前進を遂げることができるだろう。首相が 中国側や韓国側の考えを変えられなくても、世界が安倍首相は誠実だと 信じるようになれば、日本に最も厳しく当たる国々を孤立させることも さほど難しくなくなる。

親交関係を築きたいのはお互い様なのだ。2012年に日本政府が尖閣 諸島を国有化し、翌年に安倍首相が靖国神社に参拝して以来、緊張は着 実に高まっている。その負担はアジア全域に及んでいる。日本の対中投 資は14年に40%近く落ち込み、二国間貿易は伸び悩んでいる。中国経済 はここ数年来の低い成長率に減速し、韓国と日本はデフレ脱却に苦戦し ている。

いずれの国にとっても、貿易と投資の拡大は優先課題であるはず だ。韓国の朴槿恵大統領は慰安婦問題について、日本政府から適切な姿 勢が示されれば解決に向けて動く用意があることを示唆している。日本 の政府当局者らからは、中国の習近平国家主席との首脳会談実現を楽観 視する発言が聞かれる。

普通の国

純然たる謝罪は安倍首相の目指す、自信にあふれ世界の舞台で活躍 する「普通の国」の実現を助けることになろう。安全保障関連法案が国 内で強い反発を受けている一因に、武力紛争に自ら進んでいくような事 態を有権者が恐れているということがある。外交関係の改善、特に中国 との関係改善はそうした懸念の払しょくにつながるだろう。

どんな謝罪も地域の緊張全てを和らげることはできない。結局のと ころ領土をめぐる対立は続くだろうし、アジアでの覇権争いも同様だ。 だが日本経済が上向き、米国や韓国との関係が強化され、自衛隊の役割 と活動範囲を拡大することが大半の近隣諸国に恐れられるのではなく、 むしろ歓迎されるのであれば、先に挙げた一連の試練に対し日本は上手 に立ち向かうことができるようになる。きょう、安倍首相はこれら全て の面で前に進むチャンスを与えられている。無駄にするべきではない。

原題:After 70 Years, Japan Still Needs to Say It’s Sorry: Editorial(抜粋)

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