FOMC近づけど、さらに遠ざかる米10年債利回り3%の壁

米国債利回りが今後どのような軌 道を描いて上昇していくのか、エコノミストらは見通しの下方修正を繰 り返している。

連邦公開市場委員会(FOMC)はほぼ10年ぶりとなる利上げに向 けて準備を整えつつあるものの、債券を取引する大手金融機関のエコノ ミストらは指標である10年債利回りが3%に到達するのは早くて2016年 第4四半期以降だと今ではみている。ブルームバーグ・ニュースの調査 で明らかになった。昨年12月の時点では、15年末までに3%台に上昇す ると予想されていた。

エコノミストらが利回り上昇予想を引き下げ続ける背景には、世界 的な経済不振と低インフレ長期化の兆候がある。中国が実施した人民元 の実質切り下げは米国債の妙味を高め利回りを押し下げる最新の例とな り、利上げに向けたイエレン議長の取り組みを複雑にしている。

「これがニューノーマルだ。われわれは慣れなくてはならない」と 野村ホールディングスのニューヨーク在勤ストラテジスト、スタンリ ー・サン氏は話す。「長期金利は独自の世界で動いており、グローバル な要素に反応するが、FOMCが引き上げようとしているのは短期金利 だ」と解説した。

ノムラは10年債利回りが今年を2.4%で終え、来年末には2.9%にな っていると予想する。

世界経済に赤信号

10年債利回りは13日までの1週間で4ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)下げて2.19%になった。中国人民元の切り下げで世界経 済の力強さに赤信号が点灯したことが一因。同利回りが最後に3%だっ たのは2014年1月だ。

米ジャナス・キャピタル・グループで債券ファンドを運用するビ ル・グロース氏は11日の電子メールで、「弱い中国経済は他のアジアの 生産国との競争で通貨切り下げを必要としたようだが、これは世界的な 成長鈍化や商品相場安に加え、あらためて世界的な低インフレを暗示す る」と分析。「このディスインフレ・デフレ効果で10年物と30年物の米 国債は買われるだろう」と予想した。

利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が平均0.375%に なるとの想定に基づけば、9月利上げの確率は50%としてFF金利先物 市場に反映されている。12月までの利上げは75%の確率。

原題:Closer Fed Gets to Rate Boost, Less Bearish Bond Economists Get(抜粋)