原発再稼動でも貿易黒字化不透明-原発事故の影響ぬぐえず

東京電力福島第一原発事故で、日本の全原発 が停止したことが貿易収支に与えた影響は大きかった。事故のあっ た2011年に30年ぶりの貿易赤字になって以来、赤字が続いている。

九州電力川内原発1号機は11日に、日本の原発としては福島原発事 故後初めて原子炉を起動。13年9月以来続いた「原発ゼロ」の状態が約 2年ぶりに解消された。震災後、急増した燃料輸入の減少には貢献する が、貿易収支の恒常的な黒字化への道のりは遠い。

日本のエコノミストの間では、企業の生産機能の海外現地化が進ん でいることなどを理由に貿易赤字は続くとの見方が大勢だ。原油価格の 下落に伴い、火力発電の原料となる液化天然ガス(LNG)などの価格 も下がった一方で、円安によってその他の原材料コストは上昇してい る。

みずほ証券の末広徹マーケットエコノミストは「為替相場や原油価 格の影響に比べて、原発再稼動が貿易収支に与えるインパクトは小さ い」と指摘する。昨年の貿易赤字は約12.8兆円と過去最大を記録した。

廃炉が決まっている福島第一原発の6基を除く48基のうち25基が安 全審査を申請。原子力規制委員会はこのうち川内原発1、2号機を含む 3原発5基が新安全基準に適合していると判断した。

三井住友銀行の西岡純子チーフエコノミストは、原子炉1基の再稼 動で貿易収支が年間600億円改善すると試算。UBS証券の青木大樹シ ニアエコノミストはリポートで「25基が再稼動となれば、貿易収支 は1.5兆円、電力料金は8.9%低下する」と予想している。

政府によると、2013年の日本の輸入エネルギー依存度は94%で、原 発事故発生前の10年の80%から上昇した。鉱物燃料は14年に輸入全体 の32.3%を占めた。10年は28.6%。内閣府の試算によると、全原発の停 止によって潜在経済成長率の最大0.6%が失われた。

原発再稼動による貿易収支の改善が期待できない一方で、LNG価 格は貿易赤字の減少要因になる。シティグループはリポートで、原発の 代替燃料を「大量に輸入している日本での原発の再稼動は、世界市場に 長期的なインパクトを与える」と指摘した。

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