黒田電:有罪・村上氏の役員案に「不適格」、印象うわさ通り

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物言う株主として知られる村上世彰氏らの社 外取締役選任の要求を投資会社から受けた電子部品商社の黒田電気。既 に反対を表明した同社経営陣の1人は、事業内容に対する彼らの理解不 足を指摘するとともに、過去に証券取引法違反で有罪判決を受けた村上 氏は役員として不適格な人材だ、と対決姿勢をあらわにしている。

黒田電の村橋和哉執行役は11日、ブルームバーグのインタビューで 「コンプライアンスの観点から、インサイダー取引をした方が黒田電気 の取締役となることは不適格だとはっきり思っている」と述べた。法律 上の不適格事由には該当しないが、「取引先はソニーやシャープ、パナ ソニックなど上場企業がほとんど。取締役として入ることが顧客からど う見えるか、考えざるを得ない」と言う。

世彰氏の長女である村上絢氏が最高経営責任者(CEO)を務める C&I Holdingsなどは6月、世彰氏ら4人の社外取締役選任 を決議する臨時株主総会の招集請求を提出した。黒田電の資本政策や成 長戦略に改善の余地があり、株主に対し今後3年間の利益100%還元や 電子部品業界の再編を黒田電がリードし、企業の合併・買収(M&A) を積極展開するよう求めている。世彰氏やC&Iの共同株式保有割合 は、7月17日の大量保有報告書では16.1%、議決権ベースで約18%。

村橋執行役は、6月初旬に村上氏らが同社を初めて訪れ、半導体商 社再編の中核を同社が担うよう求めたことを明らかにした。その上で、 黒田電の扱う製品は自動車やモバイル、大型液晶用の部品材料、化学素 材であり、半導体をメーンに扱う商社とは一線を画すと説明。「最初は 誤解があったと思う。残念ながら中身が違っていたのではないか」と、 C&I側の事業内容に対する理解に疑問を呈した。

C&Iは、黒田電が2012年12月に発行した転換社債型新株予約権付 社債(CB)について、株主価値を毀損(きそん)する資本政策上の失 敗と批判している。これに対し村橋執行役は、「100%正しいとは思っ ていないが、その時点での投資効率を考えた。借り入れも行う予定だっ た」と話す。過去4年間で7件のM&Aを実施、約160億円を費やして おり、「投資戦略は非常にうまくいき、過去2年は過去最高益を更新し ている」と指摘した。

「高圧的」に映った世彰氏

黒田電は7月、配当性向を40-65%に引き上げる計画を打ち出し た。村上氏らは、「営業債権も含めたネットキャッシュは244億円もあ り、当期純利益の100%を株主還元に充てても、財務的に十分余裕があ る」と主張するが、村橋執行役は「私どもは商社で、一定の取引額に対 し一定のキャッシュを持つことが絶対必要」と反論した。

海外の議決権行使助言会社の賛否は分かれている。インスティテュ ーショナル・シェアホルダー・サービシーズ (ISS)は6日、村上 氏ら選任の議案に賛成推奨した。現経営陣からは巨額の余剰金などにつ いて本質的議論が不足し、4人が新たに加われば、業界の状況やバラン スシートの管理などで新たな見方を与えてくれるだろうとした。一方、 グラスルイスは7日付で「村上氏らの提案は説得力がなく、100%の株 主還元は現実的ではない」などとし、反対の考えを示した。

一方、ISSでは有罪歴のある村上氏について、既に罰せられてお り、法律上は上場企業の取締役となることへの妨げはないと判断してい る。大切なのは過去の行いではなく、黒田電に対し成し遂げようとして いることで、ISSは不適格ではないとみていると賛成推奨のリポート の中で言及した。

村橋執行役は、「企業の中身をしっかり勉強した上での提言で、そ れが株主全般の利益に資するのであれば当然検討する」と言う。ただ し、面会時の村上氏は「10%以上株を保有していることを根拠に非常に 高圧的。噂に聞く昔ながらの村上ファンドと変わっていないという印象 を持った」とした。臨時株主総会は21日に同社大阪本店で行われる。

14日の黒田電株は、一時前日比1.2%安の2490円まで下げた半 面、0.7%高の2537円まで上げるなどもみ合い。11日には05年以来の高 値となる2662円を付けた。14日午前時点で年初来騰落率は51%上昇とな っており、同期間のTOPIXの上昇率19%を大幅に上回る。