世界経済、安定の要失う恐れ-元切り下げで変動性拡大か

この約20年間、中国人民元は世界経済の安定 の要だった。他の通貨が下落する中でも安定していた元相場は、世界経 済がアジア危機などを乗り切るのを助けてきた。だがこうした時代は終 わったようだ。

中国人民銀行(中央銀行)は11日、元相場設定における市場の役割 を拡大すると表明。12日までの2日間で元はこの21年で最大の下げを記 録した。原油や工業用金属など商品相場も急落。ベトナムが通貨ドンの 変動幅拡大を12日に発表するなどアジアの政策当局者は対応に追われ た。

人民元安の一段の進行は通貨切り下げ競争を引き起こす恐れがある ほか、輸出価格や商品相場の下落で世界的にデフレが拡散する可能性が ある。モルガン・スタンレーは12日、中国の10兆ドル(約1240兆円)と いう経済規模や生産者物価の一段の低下を考慮すれば同国発のデフレ圧 力は「取るに足りない事とは言えない」と指摘した。

ヘッジファンド、SLJマクロ・パートナーズの共同創業者スティ ーブン・ジェン氏は「11日までは世界の2大経済大国である米中が他よ りも強い通貨の責務を共同で担っていた。しかし中国が脱落したとみら れる中で、米国が単独でこの責務を負うことになろう」と指摘。この結 果、米国の収益率や輸出は押し下げられ、中国とアジアがデフレを世界 に輸出することになるはずだと述べた。

ボラティリティ拡大

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) の元共同最高投資責任者(CIO)で現在はブルームバーグ・ビューの コラムニストを務めるモハメド・エラリアン氏は、元切り下げにより短 期的には世界的な経済成長が一段と困難になるほか、ファンダメンタル 面での要の一角を失った市場のボラティリティ(変動性)が拡大すると 分析した。

クレディ・スイス・グループの日本を除くアジア担当主任エコノミ スト、陶冬氏(香港在勤)は「過去20年間にわたり人民元は予想可能で あることで知られていたが、これが失われた」と指摘。「中国は世界2 位の経済大国で、商品と機械類の最大の輸入国だが、同時にアジア経済 の頼みの綱でもある」と述べた。

原題:World Economy Risks Losing Yuan Anchor as China Turns to Markets(抜粋)

--取材協力:Xiaoqing Pi.

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