8月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

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欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロ上昇、人民元切り下げで魅力高まる-ドル下落

中国による突然の人民元切り下げがユーロに恩恵をもたらしてい る。

12日のニューヨーク外国為替市場ではユーロが主要通貨の大半に対 して続伸。オーストラリアやメキシコなど中国とつながりの強い市場か らの逃避資金が流れ込んだ。中国の政策の影響で米利上げの開始時期や 道筋が混乱するとの懸念からユーロはこの日、ドルに代わって逃避先通 貨となった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の為替ストラテジスト、イア ン・ゴードン氏は「リスクの後退に伴い、ユーロは上昇している」と分 析。「米当局が9月に利上げする可能性があるとのわれわれの見方が変 わることはない。利上げしないリスクがほんのわずか高まる程度だ」と 続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで前日比1.1%高 の1ユーロ=1.1159ドル。一時1.1214ドルと1カ月ぶり高値を付けた。 対円では0.3%上昇し1ユーロ=138円60銭。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数は0.8%下げて1203.85。

ユーロ

つい最近までは、ユーロはドルに対して数週間以内にパリティ(等 価)に下げそうな勢いだった。欧州中央銀行(ECB)による前例のな い刺激策を受け、ユーロ圏外に利回りを求める動きが広がり、域内から 資本の流出が加速した。

ユーロはこの日、主要10通貨のバスケットに対し7カ月ぶり高値に 上昇。欧州債の指標とされるドイツ国債と米国債の利回り格差は6月以 降で最小となった。

ステート・ストリート・アドバイザーズの為替管理責任者、コリ ン・クラウンオーバー氏(ロンドン在勤)は「ユーロのショートスクイ ーズ(踏み上げ)、そして多少の逃避需要が見られる」と分析。中国の 動きについては「米当局の9月利上げの確率を確実に押し下げている。 ただ私は、市場の織り込みほど低下してはいないと考えている」と述べ た。

中国の動き

中国人民銀行(中銀)はこの日、中心レートを前日の水準か ら1.6%引き下げた。前日には1.9%と、過去最大の大きさで引き下げて いた。この動きを受け世界の景気回復の弱さや資源価格の低迷が長期化 するリスクが浮き彫りとなり、米利上げ開始の見通しに暗雲を投げ掛け る形となっている。

米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、中国の動きに伴う影響を注 視していくとした一方、中国の成長減速に即した人民元の下落であれば 理解できるとの認識も示した。

ブルームバーグのデータによれば、利上げ後に実効フェデラルファ ンド(FF)金利が平均0.375%になるとの仮定に基づけば、9月会合 での利上げ確率は44%とFF金利先物市場に反映されている。8月7日 は54%だった。

原題:China Burnishes Euro Appeal as Dollar Falls With U.S. Rate View(抜粋)

◎米国株:S&P500種は小反発、一時は中国懸念で1.5%下げる

12日の米株式相場は小反発。S&P500種株価指数は一時、中国経 済に関する懸念から1.5%下げる場面があったが、200日移動平均を回復 したのをきっかけに値を戻した。

エネルギー株を中心に押し目買いが入り、エクソンモービルやシェ ブロンが高い。一時3.4%下げていたアップルは1.5%高で終了。インテ ルは1.7%上昇し、ハイテク株の上げをけん引した。一方、バンク・オ ブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株は下げた。

S&P500種株価指数は前日比0.1%高の2086.05で終了。ダウ工業 株30種平均は0.33ドル下げて17402.51ドルで終えた。一時は1.6%下げ た。ナスダック総合指数は0.2%安。

プライベート・クライアント・リザーブ・オブ・USバンクの上級 運用担当者、ティム・ドレイリング氏は「買い手がテクニカル要因を誘 発した可能性があるが、過去数年リスク回避の動きになる時はいつも一 時的な中断にすぎず、取引が進むにつれて懸念が弱まると資金が戻り、 相場が下支えされる」と述べた。

中国の予想外の為替政策変更で米連邦公開市場委員会(FOMC) が利上げを先送りせざるを得なくなるのではないかとの懸念が強まって いる。中国の景気減速懸念は世界の経済成長を阻害し、商品相場を下げ てインフレを抑制する可能性がある。ブルームバーグがまとめた金利先 物市場のデータによれば、9月の利上げ確率は42%と、10日の54%から 低下している。

「プラス材料にもなり得る」

アドバイザーズ・アセット・マネジメント(ペンシルベニア州コン ショホッケン)のファンドマネジャー、ジーン・ペロニ氏は「FOMC が利上げ先送りに傾く可能性があるため、市場にはプラス材料にもなり 得るが、さほど意外性を持って受け止められるかどうかは不明だ。中国 経済の弱さは週末に顕在化したようなものではなかった」と語った。

S&P500種の10セクターのうち6セクターが上昇。特にエネルギ ーや公益事業、ハイテクが上げた。一方、金融銘柄や選択的消費株、通 信サービス株は下落した。

中国の成長減速が売り上げ減少につながる恐れがあるため、ティフ ァニーやコーチなど高級品株が大幅安。

メーシーズは5.1%安。利益がアナリストに届かなかった。

決算シーズンが終わりに近づく中、S&P500種の約4分の3で売 上高が予想を上回り、ほぼ半数で売り上げが予想を上回った。アナリス トの第2四半期の減益予想は2.1%と、7月10日時点の6.4%から減益率 が低下している。

原題:S&P 500 Index Erases 1.5 Percent Drop Sparked by China Concerns(抜粋)

◎米国債:下落、入札が振るわず-リスク資産需要で投資妙味が低下

12日の米国債相場は下落。午後に実施された10年債入札(発行 額240億ドル)が不調に終わり、13日の30年債入札に対する不安が広が った。

10年債入札では応札倍率が約6年ぶりの低さだった。リスク資産へ の需要が上向き株価が上昇すると、投資妙味が低下した米国債は上げを 消した。

ED&Fマン・キャピタル・マーケッツの債券金利・クレジット担 当責任者、トーマス・ディガロマ氏は「翌日に入札が控えていることを 考えると、米国債は若干割高だ」と述べ、「この日の朝方は買われ過ぎ ていた」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)上昇の2.15%。10年債は一時、200日移動平均を下回 る2.04%をつけた。中国の通貨切り下げを受けて、成長てこ入れを狙う 他国も追随するとの懸念が高まった。

30年債利回りは3bp上げて2.84%。一時は2.72%まで低下した。 7月9日に実施された30年債入札の最高落札利回りは3.084%だった。

入札結果

10年債入札の結果によると、最高落札利回りは2.115%。投資家の 需要を測る指標の応札倍率は2.40倍と、2009年3月以来の低水準。過 去10回の平均値は2.67倍だった。

大和証券キャピタル・マーケッツ・アメリカの債券部門責任者、レ イ・レミー氏(ニューヨーク在勤)は「利回りは低下している。そのた め、きょうは買い手は現れなかった」と述べ、「2.11%の利回りはちょ っとしたショックだったようだ」と続けた。

海外の中央銀行を含む間接入札者の割合が60.1%と、5月以来の最 高。プライマリーディーラー以外の直接入札者の落札比率は5.8% で、2012年8月以来の最低だった。プライマリーディーラーは34%と、 1月以来で最高だった。

原題:Treasuries Fall as Flagging Demand Poses Challenge for Bond Sale(抜粋)

◎NY金:5日続伸、買いが戻る-人民元切り下げで安全逃避

12日のニューヨーク金先物相場は5営業日続伸。3週間ぶりの高値 となった。中国人民元の切り下げを受けて、安全逃避目的の買いが活発 になったほか、自国通貨の下げを誘導する国が増えるとの懸念も強まっ た。

金属取引会社、シャープス・ピクスリーのロス・ノーマン最高経営 責任者(CEO)は電話取材で、「あらゆる不安が重なって金価格に表 れている。元切り下げを受けて市場が神経質になっていることも反映さ れている」と指摘。「相場は堅調で、新規の買いが入ってきている」と 述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12 月限は前日比1.4%高の1オンス=1123.60ドルで終了。一時は1125.50 ドルと、7月20日以来の高値をつけた。5日続伸は5月以来の最長。

銀先物9月限は1.3%上げて15.476ドル。プラチナ先物10月限 は0.8%上昇の999.90ドル。パラジウム先物9月限は4%高の623.10ド ル。

原題:Gold Makes a Comeback as Yuan Devaluation Fuels Flight to Safety(抜粋)

◎NY原油:小反発、ドル安で買いが戻る-IEA報告も好感

12日のニューヨーク原油市場でウェスト・テキサス・インターミデ ィエート(WTI)先物は小反発。中国人民元の実質切り下げで米国利 上げの時期が後ずれするとの観測を背景にドルが下げたことから、原油 への買いが戻った。前日は6年ぶり安値で引けていた。国際エネルギー 機関(IEA)は今年の石油消費が5年ぶりの大幅増になるとの見通し を示した。

マニュライフ・アセット・マネジメント(トロント)のファンドマ ネジャー、クレイグ・ベシューン氏は「市場は中国による影響を消化し ようとしている」と指摘。「IEAのリポートは需要の伸びに対して強 気だった」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前日 比22セント(0.51%)高い1バレル=43.30ドルで終了。

原題:Oil Rebounds From Six-Year Low as Weak Dollar Boosts Its Appeal(抜粋)

◎欧州株:10月来大幅安、中国需要を懸念-自動車株と消費財銘柄安い

12日の欧州株式相場は下落。指標のストックス欧州600指数は昨 年10月以来の大幅安となった。中国の実質的な通貨切り下げが域内の輸 出業者に打撃を与えるとの懸念が強まった。

フランスとドイツ、オランダの主要株価指数がいずれも3%強の下 げとなった。英蘭系消費財メーカーのユニリーバだけで時価総額70億ユ ーロ余りが吹き飛んだ。同銘柄の売りをゴールドマン・サックス・グル ープが勧めた。

エイムド・キャピタル(ミュンヘン)のダニエル・ウェストン最高 投資責任者(CIO)は、「ユーロ圏株式に吹き付ける2つの強い向か い風がある。人民元安で中国の消費者の存在感は薄くなるだろうし、輸 出が衰えるとの見通しに同調して株式が売られている」と発言。「中国 の需要見通しを大幅に見直す必要がある」と続けた。

消費財メーカーや自動車銘柄を中心としたこの日の相場急落は、ギ リシャと債権団の交渉行き詰まりを嫌気して6、7月に見られた下げよ りも深刻だった。この日はドイツのダイムラーとBMWが売られ、業種 別の自動車関連指数の2営業日の下落率は7.9%と、2011年以降で最悪 になった。高級品メーカーや鉱山会社の売りも目立った。

ストックス600指数は前日比2.7%安の382.99で取引を終了。出来高 は30日平均を23%上回った。前日からの2営業日で4.2%下げ、これは 昨年12月以来の大幅下落。フランスのCAC40指数はこの日3.4%、独 DAX指数は3.3%それぞれ下げた。

原題:China Spurs Rout in Europe Stocks Eclipsing Worst of Greece Saga(抜粋)

◎欧州債:独2年債利回り、過去最低を更新-中国懸念で質への逃避

12日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇。商品相場の下落のほか、 中国の景気減速が深まる中で同国が通貨切り下げを実施したことを受け て債券需要が高まった。この日のドイツ国債入札では平均落札利回りが 4カ月ぶり低水準となった。

ドイツ2年債利回りは一時、過去最低を記録した。32億ユーロ相当 の10年債入札で平均落札利回りは0.61%。応札倍率は1.3倍と、7月実 施分の1.1倍を上回った。

サンライズ・ブローカーズ(ロンドン)の債券調査部門エグゼクテ ィブディレクター、ジャンルカ・ジグリオ氏は「力強い入札だったよう だ」とし、「原油安に関する新たなマクロ経済状況と、それに伴うイン フレ期待が恐らくこれを支えた」と語った。

ロンドン時間午後5時現在、ドイツ2年債利回りは前日比1べーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)低下のマイナス0.28%。一時はマ イナス0.29%と、ブルームバーグがデータ集計を開始した1990年以降の 最低となった。同国債(表面利率ゼロ%、2017年6月償還)価格 は100.525。

既発の10年物利回りは3bp低下し0.61%となった。

原題:German Debt Sale Boasts Lowest Yield Since April Amid China Woes(抜粋)