解説:人民元急落、世界はどうなる-TOPIX10%安予測も

中国の人民元が20年ぶりの大幅な下落とな り、市場は様変わりした。最後に人民元がこれだけの急落を演じたの は1994年。当時の中国経済は世界ランキング8位に過ぎず、人民元の知 名度も低かった。

そして現在、中国政府は人民元の水準形成における市場の役割を拡 大する取り組みを強化。この影響で世界中の通貨だけでなく、商品、株 式市場に衝撃が走り、世界経済の見通しを見直さざるを得なくなってい る。

人民元の下げ基調が継続した場合、何が起きるかいくつか挙げてみ よう。

米連邦公開市場委員会(FOMC)はドルが上昇を続けてもゼロ金 利を解除できるだろうか。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議 長にとって状況判断が難しくなるとの指摘は、バンク・オブ・アメリ カ・メリルリンチのアナリストらをはじめ複数から出ている。

オフショアで安く借り入れた資金を中国に持ち込み、たっぷり利ザ ヤを稼いだ後、売るときには為替差益が生じる。濡れ手で粟(あわ)と は、まさにこのことだった。人民元の長期下落はこのキャリートレード を過去のものにしてしまうだろう。

元が下げる前から、製造段階でのデフレ深刻化と輸出価格に転嫁さ れる可能性の高さを考慮すると、世界中で玩具やTシャツ、テレビなど が値崩れする恐れがあった。そこに元安が加わるのだから、世界的なデ フレ不安が再燃する可能性がある。

商品市場、ハンドバッグ

依然として大半がドル建てで取引されている商品市場。人民元切り 下げ以降、価格は急落している。下落がさらに続けば、オーストラリア やブラジル、チリといった資源国経済の先行きを暗くしかねない。

元安はまた、中国の消費者にとってドイツの自動車やスイスの腕時 計、フランスのハンドバッグが高くなることを意味する。見通しの明る くない欧州経済にとっては良くないニュースだ。中国人観光客が減るよ うなことになれば、影響はさらに深まる。

アジア全域で株式相場は大きく下げた。元が10%を超える下げとな れば、東京株式市場のTOPIXは5-10%下落する可能性があると、 BOAは分析する。

元安は他のアジア通貨への売りを促している。すでにベトナムはド ンの取引バンドを拡大することで、事態に対応した。他の中央銀行も防 衛策を迫られるかもしれない。

もちろん、元安には明るい面もある。元安の助けで中国経済が勢い を取り戻せば、世界経済にとってはプラスだ。

原題:What a Weaker Chinese Currency Means for the Rest of the World(抜粋)

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