ギリシャ危機は終わらず、財政収支目標達成困難か-Q&A

第3次ギリシャ支援をめぐる同国と債権者の 合意で、順調に行けば200億ユーロ(約2兆7700億円)がギリシャに供 与される見通しとなった。そのうち32億ユーロは欧州中央銀行 (ECB)への支払い、100億ユーロが銀行の資本バッファーに充てら れる見込みだ。今後のギリシャ情勢めぐる疑問と解答を以下にまとめ た。

Q:現時点で判明している合意内容は

A:ギリシャが資金供与を受けるには同国議会が直ちに35の「事前行 動」を可決する必要がある。債権者であるユーロ圏諸国の議会も採決を 行う。ギリシャのプライマリーバランス(基礎的財政収支)目標は今年 が国内総生産(GDP)比0.25%の赤字、来年が同0.5%の黒字に設定 された。

Q:プライマリーバランス目標は達成可能か

A:この新たな目標は達成不可能との懸念が広がっている。キャピタ ル・エコノミクスのエコノミスト、ジョナサン・ロインズ氏は「現実離 れした予測」と評価。今後数四半期でプライマリーバランスは急激に悪 化し、再び赤字に陥る見通しであり、目標達成は絶対不可能でないにし ろ極めて難しいだろうと述べた。

Q:今後のスケジュールは

A:ギリシャ議会は合意の2つの部分について採決する必要があり、早 ければ14日にユーロ圏財務相会合(ユーログループ)が開かれる可能性 がある。全て順調に行けば、ギリシャはECBが保有する国債の償還期 日である20日より前に初回の支援供与を受け、32億ユーロを支払うこと ができる。

9月に総選挙が実施されるという見方が多い。ユーラシア・グルー プのアナリスト、ムジュタバ・ラーマン氏は、これもギリシャが合意を 急ぐ理由の1つだろうと指摘した。総選挙の時期が9月よりも遅れる と、チプラス首相の支持率が下がり、与党内で反対派の結集が可能にな るため、チプラス首相にとっては9月がより好ましい選択肢といえる。

Q:ギリシャの債務はどうなる

A:フィンランドはギリシャの債務返済期間の延長の検討に前向きだ が、ストゥブ財務相は債務削減という選択肢を議論するのは時期尚早だ としている。スロバキアのフィツォ首相は、ギリシャ債務削減をたとえ わずかでも認めるつもりはないと述べた。

一方、国際通貨基金(IMF)は債務救済が具体的に約束されない 限り、ギリシャに追加支援を行うつもりはないとの立場だ。INGによ れば、欧州の債権者が支援プログラム開始前に債務再編で合意する可能 性は低いため、何らかの進展があるとすればプログラムの最初のレビュ ーの後になりそうだ。

Q:ギリシャの銀行はどうなる

A:ギリシャ政府によれば、今回の合意はギリシャの銀行が直ちに100 億ユーロを受け取ることを意味する。資本増強に関するECBのストレ ステスト(健全性審査)は10月までに行う必要がある。シティグループ の株式アナリストは、ギリシャの銀行が不良債権や資本増強をめぐりさ まざまな問題に直面すると分析。ギリシャ中銀当局者は先週、資本規制 について、銀行の資本増強が完了した後、年末までに解除されるとの見 通しを明らかにした。

Q:欧州にはどのような影響があるか

A:大方のアナリストはギリシャのユーロ離脱の可能性が低くなったと みており、JPモルガンのマルコム・バー氏は第3次ギリシャ支援が開 始されれば離脱の可能性は50%を切ると考えている。BNPパリバのエ コノミスト、ケン・ワトレット氏は今週発表されるECB議事録がギリ シャ情勢の安定を反映する内容となり、ECBの金融政策への影響につ いてより詳細な見解が示される可能性があると指摘した。

原題:Greek Crisis Not Over as Deal May be Difficult to Implement: Q&A(抜粋)