川内原発1号機が再稼働、14日に発電再開へ-約2年ぶりの原発

更新日時

九州電力は11日、川内原子力発電所1号機を 再稼働した。原発事故後に導入された新たな安全基準に基づく初めての 運転再開となるほか、2013年9月以来続いた原発ゼロの状態から約2年 ぶりに脱することになる。

九州電力は午前10時30分に、原子炉の出力を調整するための制御棒 を引き抜き同1号機(出力は89万キロワット)を稼働させた。川内原発 としては約4年ぶりの稼働となった。同日中には連続的には核反応が起 こる臨界状態に達する見込みで、14日午後に発電を再開し、徐々に出力 を上げて1カ月以内に営業運転に移行する予定だ。

国内にある原子炉43基のうち24基が安全審査の申請を提出。規制委 はこのうち川内原発1、2号機、関西電力の高浜原発3、4号機、四国 電力の伊方原発3号機に対して新安全基準に適合しているとの判断を下 した。

マッコーリー・グループのアナリスト、ポリーナ・ディアチキナ氏 は、「川内原発の再稼動は産業界全体にとって、特に九州地域において 明らかにポジティブなニュース」と指摘。その上で「今後の再稼働のプ ロセスはもっとスムーズになる」と述べた。

原発事故後に、政府は14年に策定したエネルギー基本計画で可能な 限り原発依存度を低減させると明記した一方で、30年には総発電電力量 に占める原発の割合を20-22%にすることを掲げた。原発ゼロに舵を切 ったドイツとは異なり、エネルギーの自給率が低く他の国とつながった 送電網のない日本では、電力供給を安定的に確保するために電源の多様 化が課題となっている。

資源外交で有利

日本エネルギー経済研究所の橋本裕研究主幹は、今までゼロだった 原発が一つでも動くことの影響は大きいという。まず代替燃料需要で一 時価格が高騰し、貿易赤字の最大の要因ともなった液化天然ガス (LNG)価格の「下げ要因になる」と指摘。資源外交上でも原発とい う「選択肢がある」ことを示せることは大きいと指摘する。

原子力市民委員会は11日、「川内原発1号機の再稼動はきわめて残 念」との声明文を発表。災害の多い日本にとって新基準は「甘い規制基 準」であり、国民の安全を保証する地域防災が盛り込まれておらず、 「審査に合格した原発といえどもその安全性は保障されていない」と指 摘。「再稼動は認められない」との見解を示した。

宮沢洋一経済産業相は再稼働後に都内で会見し、「原発の再稼働プ ロセスが着実に進むことは、安全確保を大前提にエネルギー安全保障、 経済性、地球温暖化対策の観点から重要」と述べた。

原発なければ料金上昇

さらに、原発の不足分を石炭火力で補っても「コストはそれほどあ がらない」としたものの、「石炭火力を増やすほどCO2が増える。原 発もだめ、石炭火力も規制するとなると、相当大幅に電力料金が引き上 げられることは明らか」と指摘した。

九州電力の瓜生道明社長は「これまで以上に緊張感をもって、安全 確保を最優先に今後の過程を慎重に進めてまいります」との声明文を発 表した。

電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)も「このたびの原子 炉起動は、大きな節目の一つと受け止めている」とのコメントを発表。 他のプラントについても規制基準の適合性審査に真摯(しんし)に対応 し、「1日も早い再稼働を目指してまいりたい」との考えを明らかにし た。

再稼働に反対する市民団体は11日、川内原発前で抗議集会を開催。 この集会のまとめ役となった鹿児島県護憲平和フォーラムの野呂正和事 務局長は事故が起こった場合に住民が安全に避難できず被ばくする可能 性があるとし、「憤りの一言に尽きる」と話した。

現在は規制されているために九州電力からしか買えない家庭向けの 電力も、16年4月の小売り自由化で、新規に参入した企業から購入する ことができるようになる。野呂氏は「信頼関係を築いていないと買わな いと九電にも伝えている」とし、新規参入した電力小売り事業者へのシ フトが進めば3000億円を超える追加安全対策の費用の回収は進まず、同 社の経営が困難になるのではないかと話した。

--取材協力:Chisaki Watanabe.