長期金利約3カ月ぶり低水準、人民元切り下げでリスクオフの買い優勢

更新日時

債券相場は上昇し、長期金利は約3カ月ぶり の低水準まで達した。中国が人民元の実質切り下げに踏み切ったことで 同国景気への懸念が強まり、世界的な債券高・株安基調を背景にした買 いが膨らんだ。

12日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の339回 債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値よ り2.5ベーシスポイント(bp)低い0.37%で開始。午後に入ると0.36% と、5月1日以来の低水準まで達した。いったん0.365%を付けた後、 再び0.36%に低下。その後は0.355%まで下げている。

長期国債先物市場で、中心限月9月物は前日比18銭高の147円87銭 で開始。午後に入ると、日銀オペの結果を受けた買いが入り、一時 は148円03銭と、中心限月の日中取引ベースで4月28日以来の高値を付 けた。結局は31銭高の148円00銭で引けた。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「人民 元の切り下げは株安を通じて金利低下要因となっている。世界的なパイ の取り合いの中で中国が出てきたので、他の国にはマイナスだ。通貨安 競争の再燃は、通貨高につながる米利上げには逆風となり、ドル高にな ればディスインフレ圧力になる。日本の債券市場にも巡り巡って金利低 下に働く」と話した。

11日の米債相場は大幅上昇。10年国債利回りは前日比9bp低下 の2.14%となった。中国の発表に伴いドル建て資産の需要が高まり、安 全逃避先として米国債が買われた。中国人民銀行(中央銀行)は人民元 の20年ぶりの切り下げに踏み切り、アジアの通貨が軒並み下げた。12日 の東京株式相場は大幅下落。中国人民銀はこの日、再び人民元の中心レ ートを引き下げた。

メリルリンチ日本証券の大﨑秀一債券ストラテジストは、債券相場 について、「中国景気の減速懸念が注目されたことや米金利が低下した ことでポジションが軽かった投資家の買いを誘発した形」と述べた。

日本銀行がきょう実施した長期国債買い入れオペ3本(総額4500億 円)の結果によると、残存期間1年以下、10年超25年以下、25年超のい ずれも応札倍率が前回から低下。足元で売り圧力の弱まりが示された。 メリルリンチ日本証の大﨑氏は、「オペが強い結果となったことも追い 風。10年債利回りは目先、0.35%を試す流れになっている」と話した。

財務省は13日に5年利付国債入札を実施する。表面利率(クーポ ン)は横ばいの0.1%が見込まれている。発行予定額は前回債と同額の 2兆5000億円程度。前回入札された5年物の124回債利回りは0.075% と、新発債としては4月30日以来の低水準で推移し、日銀当座預金の超 過準備に付く金利(付利、0.1%)を下回っている。

JPモルガン証の山脇氏は、5年債入札について、「付利水準を下 回っているので、国内勢の需要は少ないのではないか。一方、リスクオ フの動きから海外勢の需要がそれなりにあるだろう」とみている。

--取材協力:Daisuke Sakai、池田祐美.