ドル全面高、人民元実質切り下げでアジア通貨下落-124円後半

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東京外国為替市場ではドルが全面高。中国人 民銀行(中央銀行)が人民元の実質切り下げに動いたことをきっかけ に、対アジア通貨を中心にドル買い圧力が強まった。

ドルは台湾ドルやシンガポール・ドル、オーストラリア・ドルなど に対して、1%以上値上がりした。主要通貨に対しても上昇し、対ユー ロでは1ユーロ=1.10ドル台前半から一時1.0961ドルまでドル買いが進 んだ。

ドル・円相場も1ドル=124円台半ばから一時2営業日ぶり高値 の124円89銭までドル買いが進行。しかし、日本株が下落に転じ、クロ ス円(ドル以外の通貨の対円相場)で円買いが進む中、その後は伸び悩 む場面も見られた。

中国人民銀は11日、各営業日ごとに設定する人民元の中心レート を1.9%引き下げた。中国経済の成長ペースが一段と鈍化する兆しの中 で、過去最大の中心レート引き下げに動いた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラ テジストは、豪ドルなど中国関連通貨は、元安によって輸出が抑えられ るほか、元安の裏側でドルが高くなるため、下落が増幅されると説明。 その上で、人民元の実質切り下げを受けて、「中国依存度の高い国の当 局がさらなる通貨安を志向する、ないしは下半期の世界景気が減速感が 続くというストーリになると、通貨安戦争が現実味を帯びてくる」と話 した。

過去最大の引き下げ

人民銀は声明で、今回の中心レートの大幅引き下げについて、一時 的な調整だと説明した。その上で、人民元相場を「妥当」な水準で安定 的に維持し、中心レート設定で市場の役割を強化する方針だと付け加え た。

通貨・金利リスク管理を手掛けるロックフォード・キャピタルのト ーマス・アバリルマネジングディレクター(シドニー在勤)は、中心レ ートの大幅引き下げは「相対的な中国経済への自信のなさ」を示唆して いると解説した。

中国では先週末発表された7月の貿易収支で、輸出が前年同月 比8.3%減と市場予想を大きく上回る落ち込みとなった。中心レートの 大幅引き下げを受け、人民元相場は11日、同国が公定レートと実勢レー トを一本化した1994年1月以降で1日として最大の下げとなった。

みずほ証券投資情報部の由井謙二FXストラテジストは、貿易収支 の弱い結果を受けて、「中国は財政で対策を打ってくると思っていただ けに、人民元安誘導を行ってきたのはサプライズだった」と指摘。もっ とも、「人民銀行が 1回限りの調整と述べていることから、相場材料 としての正味期限は短いのでは」とも言い、週後半に米小売売上高など の発表を控えて、ドル・円が先週末の米雇用統計発表後に付けた高値 (125円07銭)を超えるのは難しいとの見方を示した。

--取材協力:Daisuke Sakai、Masaki Kondo、Netty Ismail.