九州電力:川内原発1号機を11日に再稼働へ-新規制規準の導入後初

九州電力は10日、鹿児島県の川内原子力発電 所1号機(出力89万キロワット)を11日に再稼働すると発表した。予定 通り運転が再開されれば、原発事故後に導入された新安全基準に適合し ていると認められた原発で初となる。

電子メールで配信された発表文章によると、同社は11日午前10時30 分に原子炉を起動する。午後11時ごろに核反応が連続的に起きる臨界の 状態に達し、14日午後6時ごろに発電を再開することを計画している。 1カ月弱で営業運転に至る予定だ。

13年9月に関西電力の大飯原発4号機が停止して以降、国内では原 子力に依存しない原発ゼロの状態が約2年続いた。11年5月に定期検査 のために停止した川内原発1号機は、原子力規制委員会が13年7月に導 入した新たな安全基準のもとで最初の再稼働となる。

国内にある全43基の原子炉のうち24基が安全審査の申請を提出して おり、規制委はこのうち川内原発1、2号機のほか3基の原子炉に対し 基準に適合しているとの判断を下している。

政府は14年に策定したエネルギー基本計画で可能な限り原発依存度 を低減させると明記した一方で、30年に総発電に占める原発の比率は20 -22%と震災前の水準の3分の2程度まで戻す目標を掲げている。原発 は燃料が安いうえに供給安定性にも優れているが、安全性を不安視する 声は根強い。

再稼働ありき

規制委は5日、川内原発1号機の経年劣化に関する技術的評価を実 施。配管の劣化を想定した評価では許容値をぎりぎり満たす数字が提出 されるなど、反原発団体は九州電が提出した資料を規制委がうのみにし ており、再稼働ありきの体制で審査を行っていると指摘している。

菅直人元首相は4日、7つの反原発団体が都内で共同で開催した集 会で「規制庁の言っている論理が、自ら定めたガイドからも明らかに矛 盾している」との考えを明らかにした。

原子力規制庁の清水康弘長官は6日の就任会見で、「制御棒を引き 抜くだけですべてが終わるわけではなくて、実際の営業運転になるのが 最後の合格証」と話した。審査はまだ続いているとし「今後もさらに気 を引き締めて検査を行うよう担当に指示していきたい」と述べた。

震災前の原発依存度が16%だった九州電では11年末までにすべての 原発が停止。原発に代替する火力発電用の燃料費負担が増えたことか ら、同社は13年5月に家庭向けの電気料金を値上げした。

しかし、液化天然ガス(LNG)など代替の燃料費用のすべてを電 気料収入で回収できず、3000億円を超える原発の追加安全対策工事費も 重くのしかかり、収益や財務体質が急速に悪化。日本政策投資銀行か ら1000億円の優先株出資を受けてもなお、自己資本比率は6月末時点 で10%を下回っており、収益構造の改善が急務となっている。

5年ぶり黒字

九州電の2015年4-6月期の営業利益は、燃料価格低下の恩恵を受 けて5年ぶりに黒字に転じたものの、同社東京支社の川畑健二副支社長 は7月31日の決算発表の会見で「一時的なもので、原子力がないと厳し い」と話した。

川畑氏によると、現在の為替レートや燃料価格を前提にすると川内 原発1号機が稼働すれば月75億円の収支改善効果が生まれるという。2 カ月遅れで審査が進んでいる同2号機が動けばさらに75億円、玄海原発 3、4号機(出力各118万キロワット)も再稼働すると、さらに月200億 円の収支改善効果が見込めると話した。

原発の再稼働は電力会社の収支にすぐに反映される。しかし、現状 の電気料金は4基が稼働している状態を前提としており、1基が再稼働 しただけでは直接料金の値下げにはつながらない。

川畑氏は「川内に加えて玄海の計4基が再稼働したタイミングで、 収支財務状況を総合的に勘案して判断したい」と述べた。同社は13年7 月に玄海原発3、4号機の再稼働に向けて、規制委に安全審査を申請し ているが、具体的な時期は見えていない。

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