【今週の債券】長期金利は上昇か、米利上げ観測重し-中国株対策注目

今週の債券市場では、長期金利が0.4%台で 上昇余地を探ると予想されている。米国の早期利上げ観測に対する警戒 感が根強く、国内金利にも上昇圧力が掛かりやすいとの見方が背景にあ る。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.375-0.50%となった。前週は4日に約2カ月ぶりの低水 準となる0.385%まで下げたが、その後は売りが優勢となり、7日には 1週間ぶり高水準の0.425%を付けた。

米国で7日発表された7月の非農業部門雇用者数は、前月比21 万5000人増と、労働市場の力強い回復を示すとされる20万人を3カ月連 続で上回った。ブルームバーグのエコノミスト予想の中央値は22万5000 人増だった。前月は23万1000人増に上方修正された。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「現在の景況感の下で 米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利上げを強行しても、長期債 の売り余地は広がりづらい。だがそれに加えて、中国の景気対策が積み 増しとなり、市場の景況感やインフレ期待を変えるようであれば、債券 売りに動いても良さそうだ」と言う。

中国株

中国指導部は景気鈍化の兆候が見える中で今年の成長率目標を確実 に達成するため、新たな財政支出を準備している。7日の上海総合指数 は株価対策拡充の観測で2.3%高の3744.21に反発した。6月下旬以降の 断続的な株価対策にもかかわらず、政府が示した4500に戻していない。

SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「内 外ともに夏休みモードが強まる1週間。材料も通常の米経済指標発表は あるものの、雇用統計終了後ということで米国市場でもファンダメンタ ルズ材料への関心はやや遠のくだろう」と指摘。「ここからのブルフラ ットは進行し過ぎると、その後の大きめの反動をもたらすため、注意深 くみていく必要はある」と言う。

財務省は11日に30年利付国債入札を実施する。47回債と銘柄統合す るリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は1.6%に据え置きと なる見込み。発行額は前回債と同額の8000億円程度となる。

13日には5年利付国債の入札が予定されている。前週末の現物債市 場で新発5年物の124回債利回りは0.095%程度で取引されており、クー ポンは横ばいの0.1%が見込まれている。発行予定額は前回債と同額の 2兆5000億円程度となる。

野村証の松沢氏は、「30年債のフェアバリューは1.40%付近まで下 がっており、代替先となる海外金利も低下してしまっている。投資家は 現行水準を受け入れて行かざるを得ないだろう。一方、5年債入札につ いては、日銀緩和期待が後退する中、5年債利回りが0.10%を下回って 取引され続けることには違和感を覚える」と言う。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物9月物146円75銭-147円60銭

10年国債利回り=0.40%-0.50%

「強気になれない状況。米利上げ観測が心理的な重し。米利上げ前 に運用する必要はなく、利上げ後に買っても良いと思っている人がいる かもしれない。債券相場にとって、円安は圧迫要因になるが、原油安は プラス要因となる。30年債入札がうまく行くには、今の利回り水準では 物足りないので1.5%近辺に調整する必要がありそう。5年債入札も、 もう少し水準が必要。利回り0.12%程度で迎えて、入札後に0.1%程度 に戻す感じ」

◎損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベ ストメントマネジャー

先物9月物147円10銭-147円70銭

10年国債利回り=0.40%-0.45%

「10年債利回りの水準は大きく変わらず、7月半ば以降のレンジ が0.4%台前半での推移続くとみている。米利上げ開始は9月か12月と の見立てで、年内2回実施との見方は限定的のため、長期金利はしばら く上がりづらい地合い。5月以降に0.4-0.5%程度のレンジを形成した が、夏場から秋口にかけては0.40%を中心に下方シフトしそう。日銀の 買い入れが継続するほか、欧州の金利安定で外国人の需要が戻ることで 需給は引き締まりやすい」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物147円35銭-147円95銭

10年国債利回り=0.375%-0.435%

「米国要因は新規材料が乏しくなりつつあることから、先行きを考 える上では月内の中国株の再下落リスクに備えておきたい。お盆休みを 前に売り物がそれほど出てこない可能性があることも、金利上昇の余地 を限定的にさせるかもしれない。30年債入札については、金利上昇局面 で迎えた場合には不透明感が増すとみている。5年債入札については、 物不足が顕著でもあり、無難な結果になるだろう。こうした中で週を通 して、基本的には強含みもみ合いが想定される」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE