日銀:金融政策の現状維持を決定、8対1-木内委員が反対

日本銀行は7日の金融政策決定会合で、政策 方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。木内登英審議委員が前回 会合に続き反対した。消費者物価の前年比はゼロ%近辺で推移してお り、目標とする2%には遠いが、日銀は物価の基調は着実に改善してい るとの見方を維持しており、当面の物価の推移を見極める構えだ。

日銀はマネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよ う金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投 資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も 維持した。ブルームバーグが7月27日から8月3日にかけてエコノミス ト37人を対象に実施した調査でも全員が現状維持を予想していた。

輸出と個人消費が低迷したことで、4-6月の実質成長率は前期比 年率1.9%減と3期ぶりのマイナス成長が予想されている。6月の生鮮 食品を除くコア消費者物価(CPI)は前年比0.1%上昇と引き続きゼ ロ%近辺にとどまっており、7月の東京都区部のコアCPIは0.1%低 下と2年3カ月ぶりのマイナスとなった。

景気、物価ともさえない状態が続いているが、早期の緩和観測はむ しろ後退している。10月の緩和予想は12人(32.4%)と前回(34.3%) からほぼ横ばいだったが、「緩和なし」は16人(43.2%)と前回 (37.1%)から増加。「緩和あり」予想は21人(56.8%)と前回 (62.9%)から減少し、「緩和なし」予想との差が縮まっている。

景気は低空飛行も致命的ではない

1日付で東海東京調査センターに移籍した武藤弘明チーフエコノミ ストは会合前、「景気の回復は非常に緩やかだが、7-9月期以降はい ちおう内外需ともに上昇局面に転じてくると予想される。レベル的には 低空飛行であり、決してほめられた回復ではないが、追加緩和を促すほ どには致命的ではない」と指摘。

その上で、「日銀はGDP成長率の下方修正に関しては、労働市場 がタイトである限りさほど気にしておらず、GDP統計自体を疑ってい る節もある。物価の緩やかな上昇に満足して政策は現状維持を堅持する だろう」とみる。

三井住友銀行の西岡純子チーフエコノミストも会合前、日銀は「次 回の見通し変更時には成長率見通しを下方修正せざるを得ないだろう」 としながらも、それは「物価見通しの下方修正には必ずしも直結しな い」と指摘。「強気な物価見通しはそのままに、現状の緩和政策を維持 する」と予想している。

日銀コアCPIも緩和なしの証左か

日銀は7月の金融経済月報でエネルギーを除くコアCPIを独自に 公表。5月は前年比0.7%上昇と総合(0.5%上昇)、コア(0.1%上 昇)、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合(0.4%上昇)のい ずれより高い伸びを示した。

HSBCホールディングスのデバリエ・いづみ日本担当エコノミス ト(香港在勤)は会合前、10月緩和予想から「緩和なし」に転じた。 「たとえ16年度前半の2%到達が無理でも、日銀は追加緩和は見送るだ ろう。新しいコアCPIの公表も、厳格な目標設定から、より柔軟なイ ンフレ目標への移行を検討し始めていることの証左の1つだ」とみる。

一方、ソシエテジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは会 合前、10月緩和予想を変えていない。日銀は2%物価目標の達成時期を 「『16年度前半ごろ』から、17年度の前半も視野に入れた『16年度を中 心とする期間』へ正式に後ずれさせ、その実現をより確かにするための 追加緩和という位置づけを明確にするだろう」と指摘。

「9月の自民党総裁選挙、そして安保法制関連法案の国会審議中 は、円安で負の影響を受ける人々への配慮から、安倍首相も大きな円安 につながる可能性のある追加緩和をそれほど望まないと考えられる。し かしそれ以降は、株式市場のさらなる上昇、低下気味の支持率回復のた めにも、日銀の追加緩和を望むように変化してくる」とみている。

木内氏が独自提案も否決

木内氏は前会合と同様、「マネタリーベース及び長期国債保有残高 が年間約45兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節及び資産 買い入れを行う」などの議案を提出したが、反対多数で否決。「資産買 い入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで 継続する」との議案も提出したが、1対8で否決された。

黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は9月18日 に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイ トで公表している。

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