戦後70年談話:有識者懇報告書に「侵略」「植民地支配」明記

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戦後70年談話に関する有識者懇談会(座長・ 西室泰三日本郵政社長)が6日、安倍晋三首相に提出した報告書で、日 本の戦前・戦中の行為を「侵略」、「植民地支配」と明記した。これを 受け、首相は戦後70年談話の作成を進めるが、報告書は歴史認識に関 し、談話に盛り込むべき具体的な表現ぶりについては言及していない。

報告書は、20世紀の歴史を振り返る中で、「日本は、満州事変以 降、大陸への侵略を拡大」と指摘。「特に1930年代後半から、植民地支 配が過酷化した」と続け、当時の「政府、軍の指導者の責任は誠に重 い」との見方を示した。「侵略」については、国際法上の定義が定まっ ていないことなどから、複数の委員が異議を表明したことも付記した。

戦後日本の歩みについては1930年代から40年代前半の行動に対する 「全面的な反省の上に成り立っている」と指摘した。

1995年当時の村山富市首相が発表した戦後50年談話は過去の「植民 地支配と侵略」に対し、「痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気 持ち」を表明。戦後70年談話をめぐっては、村山談話のこうした文言が 盛り込まれるかが焦点となっている。

報告書は、「おわび」については、村山談話を引用する形で触れる にとどめた。さらに、07年4月に来日した温家宝首相(当時)が国会演 説で、日本が侵略を認めて被害国に反省とおわびを表明したことを「評 価」していると発言したことを紹介し、これを村山談話と、その歴史認 識に関する表現を踏襲した05年当時の小泉純一郎首相による戦後60年談 話への中国からの「公式な返答」と位置づけた。

和解

日本と各国の戦後の和解の歩みについても記載している。米国、豪 州、欧州については、「国民レベルでも支持される和解を達成」と指摘 したが、中国や韓国との間では「和解が完全に達成されたとは言えな い」と記載した。

戦後70年間の日中関係について、「お互いに和解に向けた姿勢を示 したが、双方の思惑が十分には合致しなかった」と総括。中国が戦後一 貫して戦争責任は一部の軍国主義者にあるとする「軍民二元論」の考え 方を採用していることを指摘したが、共産党を正当化するための愛国主 義教育のなかで日本との歴史問題が扱われたことなどにも言及した。

今後の中国との関係は、過去への反省を踏まえて交流を活発化さ せ、「かけ違いになっていたボタンをかけなおし、和解を進めていく作 業が必要」と記述した。

戦後の韓国の対日観については、「理性が日本との現実的な協力関 係を後押しし、心情が日本に対する否定的な歴史認識を高めることによ り二国間関係前進の妨げとなってきた」と分析。朴槿恵大統領を「就任 当初から心情を前面に出しており、これまでになく厳しい対日姿勢を持 つ大統領」と表現しているが、強硬姿勢も最近は変化の兆しを見せてい るとの見方も示した。

報告書は、慰安婦問題をめぐるアジア女性基金などの取り組みに韓 国側が当初、「一定の評価」をしながらも、「韓国内で歴史に関して否 定的な対日観が強く残り、かつ政府がこうした国内の声を対日政策に反 映させている」と指摘。韓国政府は日本との歴史をめぐる問題で「『ゴ ールポスト』を動かしてきた」との見解も示した。

その上で、日韓関係について「永続する和解を成し遂げるための手 段について、韓国政府も一緒になって考えてもらう必要がある」と記述 した。

懇談会は首相の私的諮問機関で、正式名称は「20世紀を振り返り21 世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」。「20世 紀の経験からくむべき教訓」など、首相から提示された5つの論点に沿 い、2月から7月にかけ、7回の会合を開催した。

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