債券市場に潜む危険な落とし穴-CLOエクイティは痛い教訓か

リスクの高い債券に資金を長くとどめておく ことが許される投資家と、売らざるを得ない投資家との違いは大きい。 ローン担保証券 (CLO)の「エクイティ」がその代表的な例だ。

ジャンク級(投機的格付け)の貸付債権プールを裏付けとする CLOの複数のトランシュの中でリスクが最も高いエクイティは、歴史 的な低利回りが続く中で潜在的なリターンが10%を超える数少ない債券 投資の手段として、ここ数年クレジットヘッジファンドの人気を集めて きた。

しかし、今年1-6月(上期)は原油価格の急落で状況が変わり、 CLOのエクイティ部分のリターンは3%に届いていない。ひどく悪い わけではないが、過去に生んだ利益を考えるとそれほど素晴らしくな い。

JPモルガン・チェースのデータによれば、最近の貸付債権プール のエクイティ部分から得られる支払いは定期ベースだけで約10.6%に達 する。しかしその価格となると話は別で、一つの指標で見ると上期 に8.3%下落した。ローン市場で資金調達するエネルギー企業を直撃し た原油と天然ガス、石炭価格の急落が影響したといえる。

流動性が低く仕組みの複雑な資産の価値が、数学モデルでは予測困 難な動きに基づき、いかに大きく変動するかがこうした様子から見て取 れる。前例のない米金融緩和が6年余り続いたことで価値が過大評価さ れる状況や、リスクの高い企業の借り入れ規模を考えると、これは米国 の債券市場にとって大きな懸念だ。

CLOのエクイティ部分の市場規模は貸付残高ベースで推定400億 ドル(約5兆円)と、米国のジャンク債プールの1兆3000億ドルやレバ レッジドローンの8000億ドルに比べると小さい。だが、流動性の低い債 券の場合、市場価値と利払いの乖離(かいり)がいかに大きくなるかが 示されている。

今のところCLOエクイティの価格下落は買いの好機かもしれない し、リスクの高い債券投資を待ち受けるさらなる混乱の前触れかもしれ ない。いずれにしても、いざという時に価値の評価が困難になる債券を 売却しようとすれば「危険な落とし穴」があることに気付くだろう。

原題:The Painful Lesson of Selling Risky, Esoteric Debt in a Downturn(抜粋)

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