英中銀総裁:インフレは弱いと予想、利上げ主張は1人のみ

イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー 総裁は6日、英国のインフレが当分は弱いとの見通しを示した。8月の 金融政策委員会(MPC)の採決では1人を除き全員が、物価上昇圧力 は直ちに利上げをするほど強くはないとの見解で一致した。

カーニー総裁は今回から採用した新たなコミュニケーション戦略の 下で初の記者会見を行い、見通しは利上げの必要性と矛盾しないもの の、政策金利引き上げは適切な時期に実施すべきだとの考えを示した。

同総裁は会見で「利上げ開始の正確な時期をあらかじめ予測するこ とはできない」とし、「景気の動向とその見通し次第。つまりデータに 左右されるということだ」と語った。

MPCは8対1で、政策金利を過去最低の0.5%に据え置くことを 決めた。利上げを主張したのがイアン・マカファティー氏1人だったの は予想外だった。大半のエコノミストは少なくとも2委員が利上げを主 張すると見込んでいた。

中銀は同時に発表した物価報告で、今年のインフレ率見通しを下方 修正した。ただ、この日のMPC会合の議事録によれば、一部メンバー は中期的インフレ見通しに上振れリスクがあるとの認識を示した。利上 げ開始の時期については意見が分かれた。

新たなコミュニケーション戦略の下で「スーパーサーズデー」と銘 打たれたこの日の四半期物価報告で、中銀は短期的にインフレは弱く、 最近のエネルギー価格下落の影響が少なくとも2016年半ばまで残るとの 見通しを示した。

トレーダーらは年内の英利上げ観測を後退させたが、先物市場は来 年5月までに0.25ポイントの利上げが実施されるとの予想を完全に織り 込んでいる。ポンドは下落し、ロンドン時間午後2時18分現在は前日 比0.5%安の1ポンド=1.5519ドル。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループのエコノミス ト、ロス・ウォーカー氏は「今日の展開はややハト派的だった」とし、 「当局は2016年2月の利上げを示唆しているのだと思う。それが今日の 中心的シナリオでありシグナルだ。今年11月の可能性は明らかに後退し た」と述べた。

中銀は今年のインフレ率を平均で0.3%と予想し、5月時点に予測 した0.6%から下方修正した。16年については1.5%とみている。

議事録も短期的なインフレの弱さに言及し、ポンド高によるインフ レ下押し圧力は「長引く」可能性があると指摘した。そうではあって も、中期的なインフレ期待は十分に安定しているとカーニー総裁は述べ た。

MPCメンバーらは需要の強さと賃金の伸び、予想より小さい経済 のたるみを理由に挙げ、インフレ見通しには上振れリスクがあると指 摘。このたるみは今後1年で解消すると予想した。マカファティー氏は これらのリスクが、政策金利を直ちに0.75%に引き上げることを正当化 すると論じた。

政策決定にとってより重要な長期のインフレ率見通しについては2 年以内に中銀目標の2%となり、さらに1年後には2.1%に達すると予 想している。

MPCで票が分かれたのは今年初めてだった。

中銀は15年の成長率予想を2.8%に上方修正。16年は2.6%と予想し た。今年の賃金上昇率の予想も3%と5月時点予想から上方修正し、16 年は3.75%と予想した。

利上げ派がマカファティー氏1人のみだったのは意外だった。カー ニー総裁を含め当局者らの発言が過去1カ月に引き締めへの傾斜を示唆 していたためだ。同総裁は過去最低金利の時代が終わりに近づいたと述 べていた。

原題:Carney Sees Muted U.K. Prices as Only McCafferty Seeks Rate Rise(抜粋)

--取材協力:Catherine Bosley、Zoe Schneeweiss、Brian Swint、Jennifer Ryan.

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