ゴールドマンは希少な一角獣がお好き-シリコンバレーで存在感

米テキサス州オースティンで開催 されるサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)コンファレンスは、 ミュージックフェスティバルとして始まったイベントだが、今ではツイ ッターやフォースクエア、ミーアキャットなど急成長するベンチャー企 業のプロモーションの場として有名だ。

ハイテク企業やメディアが盛大なパーティーを催し、製品の販売促 進や、採用が難しいソフトウエア開発者のリクルート活動も行う。 SXSWのディスクジョッキーで「DJメル」と呼ばれるメル・カバリ ッチ氏は今年、これまで見かけたことがなかった企業にパーティーの DJとして雇われた。ゴールドマン・サックス・グループだ。

世界最強の銀行とも言えるゴールドマンは、ハイテクベンチャー企 業に最も影響力のある投資家の仲間入りを目指し、鳴り物入りの宣伝を 行うことなく静かに活動している。

調査会社CBインサイツによれば、ゴールドマンは2009年以降 で132件の非公開ハイテク企業の資金集めに参加し、うち77件がここ2 年半に集中している。ブルームバーグ・マーケッツ誌9月号が報じた。

ゴールドマンのこうした活動はシリコンバレーで最も有力なベンチ ャーキャピタルにも匹敵する。同行はウーバー・テクノロジーズやピン タレスト、ドロップボックスのほかにも、企業価値10億ドル(約1250億 円)以上の「ユニコーン(一角獣)」と呼ばれる希少なハイテクベンチ ャー企業12社を支援してきた。

トップ10

ゴールドマンは、CBインサイツがまとめたユニコーン支援企業ト ップ10にランクされており、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタ ルであるピーター・ティール氏のファンダーズ・ファンドやニュー・エ ンタープライズ・アソシエーツより優位に立っている。

シリコンバレーの多くの主要投資家とは異なり、中国のオンライ ン・ペットストアからドイツに本社を置くフードデリバリー、韓国のア プリ開発業者に至るまで、ゴールドマンの投資対象は国際的な広がりを 持つ。

企業価値が10億ドルを上回るユニコーン119社のほとんどは過去数 年の間に創業されている。ウーバーの追加資金調達に関する報道によれ ば、非公開企業である同社の企業価値はわずか6年でゼロから500億ド ルに急増した。ウォール街は株式公開を待ってベンチャー企業に投資す ることが多かったが、プライベートキャピタルが潤沢な最近は起業家が 公開市場をかつてほど必要としていない。

爆発的な成長

T・ ロウ・プライスの「グローバル・テクノロジー・ファンド」 の運用を担当するジョシュア・スペンサー氏は「時価総額600億ドル規 模の企業として新規株式公開(IPO)を実施するまでに、間違いなく 成層圏に達してしまう。投資のチャンスは去り、爆発的な成長も過去の ものとなることが多い」との見方を示す。

しかし、ゴールドマンが追い求めているのはリターンだけではな い。サンドラー・オニール・アンド・パートナーズのアナリスト、ジェ フリー・ハート氏は「技術的に最先端を行くことが、これまでになく重 要になっている」と指摘する。ゴールドマンのロイド・ブランクファイ ン最高経営責任者(CEO)は5月のポッドキャストで、「われわれは テクノロジー企業だ」と発言。同行はハイテク業界の風景の一部との印 象を与えるために、今春の年次株主総会をサンフランシスコで開催し た。

ゴールドマンにはハイテク企業に単に投資するだけなく、そこから 学び、模倣する狙いもある。同行のほか大手企業と富裕層の顧客、資産 運用会社もテクノロジーが生み出す新たな市場を航行していくのは容易 ではなく、バンキングとファイナンスは将来激変に見舞われることが予 想される。ピアツーピア(P2P)バンカーのレンディングクラブや金 融アドバイザリープラットホームのウェルスフロントといったベンチャ ー企業にとって、金融業界のおよそあらゆる分野がその標的だ。

ゴールドマンのテクノロジー部門の共同責任者であるドン・デュエ ット氏はインタビューで「テクノロジーが金融業界で生み出そうとして いる混乱、既に存在する混乱は激しくなりつつある。われわれが取り残 されることがあってはならない」と話した。

原題:How Goldman Became a Tech-Investing Powerhouse in Silicon Valley(抜粋)

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